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私は何屋さん?

ひさしぶりに母から電話があった。「最近調子はどうなの?」といつもの他愛もない話をした後で、ふと母が、「ところであんたの仕事って何屋さんなの?人に聞かれた時に何て答えたらいいのかわからないんだけど」と言われてしまった。---そんなことあらたまって聞かれても困る。自分がいったい何屋さんなのか、私だって時々わからなくなっているんだから。

何の仕事をしているんですか?と人に聞かれたら、面倒なのでとりあえず「ただの印刷屋です」と答えることにしている。それ以上を言葉で説明して仕方ないから、とにかく一緒に仕事をさせてもらう中で、自分の持ち味をわかってもらうようにしている。あくまで印刷屋としての裁量に徹するのか、デザイン・制作の仕事にまで踏み込むのか、その仕事の内容次第だ。お客さんのタイプによって、自分の得意分野を使い分けたりもする。なんでもやるから人から便利がられる時もあれば、いったいお前の専門はなんなんだ?と不審がられる時だってある。専門を打ち出さずに仕事をしていくのは、なにかと面倒だし大変だ。でもこうして仕事を続けていられるんだから、自分のやり方も案外悪いものではなかったと、近頃は思えるようになってきた。

気負うつもりはないけれど、私は新しい分野の仕事をしているんだと思う。仕事のひとつひとつの内容は、特別なことじゃないし、何も新しいことはしていない。ただ印刷屋とのしての仕事の範囲の捕らえ方、その踏み込み方が、従来の常識的な判断とは少しだけ違うんだと思う。これからの時代、デザインと印刷の領域に明確な線を引くことなんてあまり意味を持たなくなるだろうし、なんでも一人でこなせる技能がますます大事になってくる。自分の専門を特定しないことが、逆に自分の価値を高たりもする時代が来るのだと---そんな根拠のない見当をつけてこの仕事を始めたけれど、この先いったいどうなることやら。
とにかくも、スタジオジャム・サンドの立ち上げから一年が過ぎた。このままがんばれる限り、走り続けていきたい。