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本屋の魔力

新宿に打ち合わせに出たついで、ひさびさに紀ノ国屋書店に行った。本を作る相談を何件か受けているので、そのサンプル探しも兼ねてだった。

近頃は欲しいと思う本も思いつかないので、近所の小さな本屋で雑誌を買う程度でほとんど事足りていた。大きな書店に入るのは本当にひさしぶりのこと。詩集のコーナーなど物色してるうちに、ふと思いついて学術書のフロアに向かった。先日「DV(ドメスティック・バイオレンス)について考える」というシンポジウムに参加して、興味深い話をたくさん聞き刺激を受け、人間の内面について書かれた文章を読みたくなったのだ。

さて、目的の階のエレベーターを出たら目の前に、「夜想 復刊!!」の貼り紙に目が留まり、即座に手に取ってしまう。雑誌の版型が大きくなってビジュアル志向の雑誌になっていた。とりあえず買うことにする。その横に「2-:+」という兄弟雑誌があった。身体表現(演劇・ダンス・パフォーマンス・映画、etc)を扱っていて、それも面白そうだから買うことにする。そしてその隣の棚は、私を待っていたかのように「DV特集」のコーナーができていた。パラパラめくってみて、アリス・ミラー著「禁じられた知---精神分析と子どもの真実」という分厚い本がすごく面白そうだったので、それを買うことにした。もう目的は果たしたつもりだったのだけど、なんだか急にフロイトの本を読返したくなって、心理学&精神分析の本のコーナーへ向かってしまうノ。そして気になるタイトルのものを選んで手にとってみたが、やっぱり今の私の頭には難しすぎると思い直し、ずっと前に一度読んだことのある古典的なフロイトの名著「精神分析学入門」の1、2巻を買うことにした。

とそこで、「あれっ、横山さん!?」と声をかけられて振り返ったら、いつもお世話になっているお客さんが立っていてびっくり! ちょっと雑談をしながら、精神分析の本を手にしている言い訳などしてみたり。さて、そろそろレジに向かおうと思った途端、フロイトの書棚の一段下に、ロロ・メイの「失われた自己をもとめて」という本が。ロロ・メイは現代のもっとも著名な臨床心理学者のひとり。というか、ほとんど哲学者。以前この人の本を読んでとても感銘を受けた。あぁ、やっぱり買わずにはいられない…。もうキリがあないので、意を決してレジへと向かう。

ところがレジは人が並んで順番待ち状態。両手いっぱいの本を抱えて待っているのがつらいので、とりあえずレジ横の棚に持っていた本を降ろす。ふと「アリスの不思議なお店」という本に目が留まる。フレデリック・クレマン著のため息が出そうなほど美しい絵本。う〜ん。やっぱり、これも買い! ・・・というわけで、結局今日も本をたくさん買ってしまった。レジのお姉さんがニコニコしながら迎えてくれた。

本屋って不思議だ。何か面白いものないかなぁと、からっぽの気持ちで行くと、何も目に留まらない。ところが何かしら、自分の中で求めているものを抱いていると、不思議と予期せずいろんな面白そうな本に出会えたりする。そして結局目的の本を買い忘れてしまったり。そしてまた本屋に行かずにはいられないのだ。

実はその後、印刷物の見本になるものはまだ何も買ってないことに気づき、本の中身はどうでもいいもの含めてあと4冊、雑誌も3冊買ってしまった。いったいいくら使ってしまったんだろう? おそるべし! 本屋の魔力!!