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赤い花、青い夢

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No.1-014

『赤い花、青い夢』17×16cm(顔彩、カラーインク)1996年
 
 
あのうつろな笑みを浮かべた口許に
いったいどんな残酷な秘密が
宿っているのかしら

手をとり抱きよせれば「詩」が溢れ出す
歩きはじめれば、「音楽」が後を追う
忘れかけていた「記憶」の破片が
あの娘の中に、きっとしまってある

鍵はどこにあるんだろう


堀田知恵里.作『最後の乙女』序文より


ヴィオロン声の少女


No.1-013

『末娘の秘密』17×22cm(顔彩、カラーインク)1996年
 

それはあたりまえの少女だった。ともすると眼が少しばかり大きすぎたかもしれないが、それとてほんの少し大きすぎるだけなので、見る方の人は、どうやらこれぐらいの眼なら、ちょいちょい見たことがあるような気がするのであった。

或る日のこと、彼女が木から落ちた時、そのとき自分がたてた声がいかにも奇妙な声だと、彼女にもはっきり感じられた。それは非人間的で、また音楽的であった。

彼女はせつなく思うのであった、(いったいあたしの中に、どんなからくりが隠れているんだろうか・・・)
              
人目に立たずにいることほど気持ちのよいことはなかったので、彼女はたいていの場合、黙っていることにした。彼女の見仕舞も、それは極めて質素な、極めて地味なものだった。彼女はその音楽を隠した喉のまわりに、何時も無地の灰色の幅のひろいリボンを結んでいた。

(しゃべらずにいようと思えば、たいして難しいことでもありませんわ)と、彼女は思うようになった---。


シュペルヴィエル.作『ヴィオロン声の少女』より


末娘の失敗


No.012

『末娘の失敗』18×36cm(顔彩、カラーインク)1997年
 

食事はまず前菜から始まった。次いで素晴らしい鮒の蒸し焼きの大皿が運ばれた(少なくも見かけはそうとしか思えなかった)。

ところがそれを取り分けようとした途端、魚がみんな窓から飛び出して、家の下を流れる川の中に入ってしまった。中の一尾は、しばらく窓ガラスに貼りついて残っていたが、やがて澄んだ水の中の仲間に追いついた。仰天した人々の目の前で、ソースは分解し、お皿の熱はこっそり蒸釜の中へ戻っていった、行きがけに、父親と正客の手にちょいと火傷させることを忘れずに。

----おまえ恥ずかしくないか?」こう父親が娘にむきつけに言った、客が帰るのを待って。すると娘は、顔をエプロンに隠すのであった。

シュペルヴィエル.作『少女』より


乙女と毒盃


No.1-011

『乙女と毒盃』23×34cm(顔彩、カラーインク)1996年
 

娘は静かにその体を横たえた。花という花が、いっせいに咲き乱れた。七色の虫達があちこちの隙間から這い出して、彼女のそばに寄り添った。満ち足りない月が、彼女の最期を照らし出そうと精いっぱいの光を投げかけた。幾千の鳥達が夜空を覆い、森に潜んでいた様々な小動物達が夜の闇に迷いながら彼女のもとへと集まってくるのだった。それでも彼女を囲む世界は、相変わらず重い静寂に支配されていた。
その時、先程のメジロが全力で舞い戻ってきた。一片の氷のかけらを嘴に携えて。その最後の贈り物を彼女のくちびるへ運んでやると、娘はの瞳にかすかな光がさしたかに見えたが、それきりすべてが終わってしまった。
そうしてわれわれの最後の乙女が、この地上から姿を消した。彼女の魂の行方を知るものはいない。

ひょっとすると、今もどこかで、なにかしら美しいものの姿をかりて、世界を輝かせているのかも知れない。けれども、あの美しい娘の姿に会うことはもう二度とないのだ。そのことだけは、確かなことだ。

堀田知恵里.作『最後の乙女』より


エンリコの鍵-1


No.1-010

『エンリコの鍵-1』24×30cm(顔彩、カラーインク)1997年
 
 
【出会い】
赤い髪の少年は、次の日もそこにいた。
ふたりは同じ種類の人間だと思うようになった。


エンリコの鍵-2


No.1-009

『エンリコの鍵-2』20×30cm (顔彩、カラーインク)1997年


【決 心】
「どうせあの人は帰ってきやしないのだから---」
三度目の夏、エンリコは静かに心を決めた。


エンリコの鍵-3


No.1-008

『エンリコの鍵-3』15×21cm(顔彩、カラーインク)1997年
 
 
【迷い道】
旅へのほのかな期待は消え去り、後悔ばかりが募っていった。
「最初から何もしなければよかったのに」


エンリコの鍵-4


No.1-007

『エンリコの鍵-4』25×18cm(顔彩、カラーインク)1997年
 
 
【勇 気】
くたびれた風情の兵士がひとり、通りの向こうからやってきた。
エンリコは勇気をふり起こしてその男に問うた。


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