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グラフィックデザイナー&イラストレーター、横山ひろあきの雑記帳です。日々の出来事や想いを気ままにつづっています。

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(カテゴリー:映画・音楽・本 etc)

リトアニア、そしてバルト三国への夢想

ひさびさのブログ更新。そしてとっておきのお知らせ。
 
来月末、バルト三国へ旅行に行ってきます!
私にとって、はじめてのヨーロッパ。少年の頃から憧ればかり募ったけど、時間とお金と勇気がなくてずっと行けなかったヨーロッパ。。イタリア、フランス、スペイン、ドイツ、ハンガリー、チェコ・・・行きたいところがたくさんあり過ぎて、どこにしようかとすごく悩んだけど、ずっと密かな想いを抱いていたリトアニアに、思いきって行ってみることにしたのです。当初はリトアニアだけの予定だったのだけど、せっかくの機会だし、ラトビアとエストニアも回ってみることにしました。
 
map_lithuania.jpg
 
リトアニアへ行くことを友人に話をすると、決まって聞かれるのは「ところで、どうしてリトアニア?」のひと言(笑)。そりゃそうですよね。リトアニアって私たちにとってはあまり身近な国ではないですから。どうしてリトアニアなのか。その話を始めるといつも長くなってしまうし、それでも自分の想いをなかなかうまく伝えらずにいるので、ここにまとめてつづっておきます。
 

今から20年程前、1992年3月にセゾン美術館で「チュルリョーニス展」という展覧会が開催されました。当時の私にとっては、まったく知らない画家の名前。でも親しい友人が「横山さんは絶対好きな絵だから」と強く勧められて、会場に足を運んでみたのでした。そして実際にチュルリョーニスの作品と出会って、大変な衝撃を受けたのです。うねるような有機的な曲線と、躍動する色彩。くすんだ色調を多く使っているにもかかわらず、画面からは凛とした光が溢れ出してくるようでした。抽象的なモチーフの作品も風景画でさえも、すべてに共通して豊かな物語性があって、それは素朴な古いおとぎ話のようでもあり、気高い神話のようでもありました。
 
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チュルリョーニス「楽園」(1909年)
 
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チュルリョーニス「天使のプレリュード」(1909年)
 
私はもう夢中になって作品を魅入ってしまい、何度も会場をぐるぐる回って作品を見て過ごしました。そしてチュルリョーニスの描く風景を見ているうちに、すごく親しい、懐かしい感情が込み上げてきたのです。言わば、自分にとっての原風景であるかのように感じてしまうのでした。それまで経験したことのない、特別な感覚でした。

それ以来ずっと、リトアニアの大地が、自分にとって遠い記憶の中にある故郷のように思えるようになったのです。
 
そして、それから2〜3年後だったでしょうか。ジョナス・メカスの「リトアニアへの旅の追憶」という映画に出会いました。メカスは、アメリカのインディペンデント映画を牽引してきた偉大な作家。「リトアニアへの旅の追憶」は彼の代表作であり、インディペンデント映画史上の不朽の名作。詩的な映像と言葉が折り重なり混ざりあって、断片的だったものがやがてひとつの美しいタペストリーにように編み上がっていく...。深く心に響く、本当に素晴らしい映画。そしてその作品の中で、メカスの故郷であるリトアニアの村の風景を見たとき、チュルリョーニスの絵に出会った時の感覚が自分の内に一挙に込み上げて来たのです。絵の中でしか知ることのなかったリトアニアを実際の映像として見て、自分にとって大事なものがきっとそこにある----なぜかしら、そう思わずにはいられなかったのでした。 
 
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ジョナス・メカス「リトアニアへの旅の追憶」(1972年)
 
チュルリョーニスの絵と、ジョナス・メカスの映画。私が知っているリトアニアは、たったそれだけ。もちろんただの思い込み、憧れに過ぎないかもしれません。実際にその地に立ってみたら、まったく違う印象と向き合うことになるかもしれません。でもそれでもいいのです。ずっと恋い焦がれていたものを確かめてみたい。その風景をこの目で見てみたい。その大地に触れてみたい。風の匂いを感じてみたい。そしてリトアニアという国のことをもっと知りたい。だからどうしても、そこへ行ってみたいのです。
 
チュルリョーニスの絵と、ジョナス・メカスの映画。それが今の私にとってのリトアニアのすべて。その先に何があるのか、狂おしいほどの期待に胸膨らませながら、旅立つその日を心待ちにしています。。

★ご案内→「KEN ケン」スタートします!

仕事でご一緒させていただいたり、個人的にも大事な友人でもある粟津ケンさんから、とても楽しみな案内をいただきました。
三軒茶屋に新しく、アートスペースをオープンするそうです!
 

 

 
★PDFはこちらからダウンロードできます→【フライヤーPDF】

以下、送ってくださった案内文から引用しますね。

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「KEN ケン」スタートします。
 
ここ一年、お会いする人に言い続けてきたスペース。その名も「KEN ケン」。
友人であり、ぼくが先生と呼ぶ数少ない人、西江雅之さん。彼は、文化人類学者・言語学者ですが、その感性は芸術そのものです。その西江さんがこの場所の名づけ親です。
三軒茶屋駅から徒歩6分、小さな地下の一室ですが、音楽、美術、デザインなどといった表現のジャンルを取り除き、「出会いの場」「発見の場」「創造の場」を目指します。さらには、あらゆるコミュニティーの枠をも無視し、芸術の本質、根源にあるものを探査することをモットーにできる「実験場」を、少しずつみなさんとともに作ってゆきたいと考えています。
 
性別年齢国籍人種オール不問!
銀行員から風俗嬢、子供から老人、自称うつ病者から、元気だと思っているヒトも、ここに集合!

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もうなんだか、この文面読んだだけで「何が起きるのか目撃せねば!」と思わずにいられません。ケンさんはいつも自分の「直感」を大事にする人で、私も一緒に仕事させていただいたときは、ごちゃごちゃと小手先を動かすばかりじゃなくて、「勢いと直感」で飛び出してくるものの大事さを教えていただいたと思ってます。皆で一緒に何かをつくり出していく作業の中で、とても刺激的で心躍る場面が度々あって、それは私にとって本当に貴重な体験になっています(ちなみにその頃の仕事&作品→その1その2その3)。自分の力量不足を反省することも多いですが、このときに手掛けたいくつか仕事は、自分でもとても気に入ってます。...っていうか、今もっとがんばらないといけないですね。。
 
その粟津ケンさんが、この「実験場」でどんな世界を切り拓いて行くのか、私自身も楽しみでなりません。まずは3週連続のライブイベントになるそうですが、できることならそのすべてを目撃したいです。
 
第一回目のイベントは2月26日(土曜日)。アフリカをはじめ世界中の異郷を旅してきた、その西江雅之による即興トークライブ。ゲストにトマツタカヒロ(2/26)、寒川晶子(3/12)の出演もすごく楽しみ。さらに4月中には「第五福竜丸記念館」の協力で、「死の灰」を展示予定しているそうです。
 
お近くの方も遠くの方も、ぜひぜひ一度足を運んでみてください!
ちなみに、この3週連続ライブの予約はすでにかなり埋まってきてるそうなので、ご興味持ってくださった方はお早めにコンタクト取ってみてください〜。

★「KEN ケン」のHP→http://www.kenawazu.com/

「小さなLUFTKATZE展」、そして銀座の眠り猫

先日の土曜日、銀座・ゆう画廊で開催されていた、「小さなLUFTKATZE展」に行ってきました。画廊外階段の壁面スペースを使っての展示。小さなスペースでしたが、新作の小物等、はじめて見る作品がたくさんあって、とても素敵な展示&販売会でした。
 
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LUFTKATZEの作品&雑貨は、活版印刷でひとつひとつ丁寧に作られていて、手に取ると活版ならではの手触りや風合いが楽しめます。用紙と印刷との美しい調和が生きている、素敵な作品に仕上がってると思います。写真ではその良さがちょっとしかお伝えできないと思うので、ぜひ皆さん直に手に取ってご覧ください。
 
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私は、このカレンダーと、小さな猫のカードを買いました。
 
この展示はこの日が最終日でしたが、また2月にも同会場他で展示&販売の機会があるそうです。活版と猫好きな方はぜひ!
 
★詳しくはこちら→http://kappansanpo.cocolog-nifty.com/

 
で、画廊を出たあと、銀座を少しブラブラ歩いていたら、松屋の間になにやら人だかり。なんだろう?? と思って野次馬根性で近づいてみたら・・・


 
・・・なんと、石柱の上に猫が座っている!しかも爆睡してるではないか。。


 
なぜこの猫はこんなところに座ってるんだろう? いったいいつから寝てるんだろう? どうやってここに登ったの? どうして人がこんなに取り囲んで騒いでるのに、そんな風に爆睡していられるの???
 
いろんな疑問が込み上げてくるけど、猫は黙して語らず・・・
いや、ただただ、眠ったままなのでした。。
 

旧暦のあるくらし展

昨日は、古い友人であり、詩人・文筆家・コピーライターの白井明大さんが主催している展覧会、「旧暦のあるくらし展」に行ってきました。会場は神楽坂・フラスコ。今回出展してるのは、白井商店、茜や、SyuRo、+α。
 

 
 
 
会場内には大胆に、さしてさりげなく和紙がアレンジされていて、個々の手仕事の作品たちを、やさしい白い光で照らし出していました。どの作品も心のこもった手仕事でつくられたものばかりで、手に取っただけで、気持ちがほっこりあたたかくなります。
 

 

 
↓これは嘉瑞工房の活字組版。完璧で美しいな・・・と、感嘆せずにはいられません。


 

そして、嘉瑞工房制作のとてもユニークな「江戸本染め手拭い」。格式ある欧文書体のフォルムとその書体名が柄になってます。もちろん私も買いましたよ!
 
 

これは、昨年秋に出版された白井の第3詩集。私は印刷のことでちょっとだけ話を聞いただけなのに、奥付けに私の名前も入れてくださってます。。恐縮するけど、とってもうれしかったです。
 
ものの価値がわかりにくくなってきてる昨今ですが、人に手で丁寧に作られたものを、実際に手に取って、感じて、考えて、自分にとって必要なものとそうでないもの、自分の生活の中で本当に大事にしたいものをひとり一人が選んでいけたらいいなって思います。そんなことを感じさせてくれた展覧会でした。
 
 
この展覧会は1/26日(水)まで開催されてます。
素晴らしい展示内容ですので、ご都合つきましたらぜひ足運んでみてください。
http://utae.mumeisyousetu.com/
http://news.frascokagurazaka.com/?eid=1408292

つばくろ舍企画LIVEのフライヤー

つばくろ舍〉企画LIVEのフライヤーを、私の絵を使ってデザインしました。
 

 
【つばくろ舎presents "ポンコンダス 原始人東京に現る"】
 出演/ゑでぃまぁこん http://www.myspace.com/eddiemarcon
    ちんぷんかんぷん http://www.myspace.com/chinnpunnkannpunn
    銀塩つばめ http://www.myspace.com/ginentsubame

2010年8月7日(土)PM7:00開場/PM7:00開演
於/八丁堀 七針 http://www.ftftftf.com/
料金:2000円 (ドリンク注文任意) ※30席限定
(大変申し訳ないのですが、すでに定員に達してしまったそうです。。)
 

銀塩つばめ、ゑでぃまぁこんは、私の大好きなミュージシャンたち(ちんぷんかんぷんは未聞ですが、きっと素晴らしいと思います)。MySpaceを通じて知り合えたのが最初だったのですが、ライブに通ったりしてるうちに銀塩つばめの端子さん〈guitar,etc〉と「いつか一緒に何かやりましょう」という話になり、今回、フライヤーデザインという形でコラボさせていただくことになりました。こんな素晴らしい機会が巡ってくるとは想像もしていなかったので、本当にうれしいです!
 
これはWeb告知用に制作したものですが、印刷用のデザインも現在制作中です。そしてこの絵を元に、新しく作品も描き起こしています。8月の展覧会か、ライブ会場で展示できるようにと思ってますが……また詳細決まってからご案内しますね。

ソプラノ 中村初恵リサイタル【 高みから舞う風のように 】今週7/14開催

ソプラノ歌手・中村初恵さんの3nd.リサイタル【 高みから舞う風のように 】が、今週7/14(水)、東京文化会館小ホールにて開催されます!

中村初恵さんは、天性の美しい声と圧倒的な表現力を持ち合わせた、本当に素晴らし音楽家。演奏の技術が優れているというだけでなく、聴く人の心を揺さぶる特別な資質を感じさせてくれます。クラッシックの素養がない私ですが、初恵さんの演奏をはじめて聴いたとき、音楽はジャンルの垣根なく人の心を豊かにさせるのだとあらためて感じ、心から感動しました。

ロシア国立マリインスキー劇場にて、オペラ、ロシア歌曲などを中心に研修を積んだ初恵さんは、ロシア歌曲のスペシャリストとして活躍の場を広げています。そして日本の歌曲、童謡も積極的にプログロラムに取り入れ、その素晴らしさを再評価する試みを続けています。
 
大きなホールでのリサイタルということで、今回はこれまで以上に熱のこもった、素晴らしい演奏を披露してくださるでしょう。ぜひたくさんの方に聴いていただきたいコンサートです。直前のご案内になってしまいましたが、お時間ある方はぜひ会場に足を運んでみてください。
 
チケットの申し込み、お問い合わせはこちら↓
http://www.hatsue-music.jp/information/

★私宛にメッセージいただければ取り次ぎますので、ご興味持ってくださった方、ぜひお気軽にご連絡ください♪
 

中村初恵リサイタル【 高みから舞う風のように 】
日時:2010年7月14日(水) 19:00開演 / 18:30開場
開場:東京文化会館小ホール (上野駅下車・上野公園口改札前)
   http://www.t-bunka.jp/hall/index.html
チケット:一般¥3800 / 学生¥2500 
主催:東京労音  マネージメント:(有)プラネット・ワイ
協力:久米繊維工業株式会社 ・ 中村初恵リサイタル事務局
後援:ロシア連邦大使館 ・ ロシア連邦協力庁 
    対外文化協会 ・ 中村初恵後援会   
 
■演奏予定プログラム
風ではない、高みから舞う風のように(リムスキー=コルサコフ作曲)/星めぐりの歌(宮沢賢治作曲)/歌劇「ボギーとベス」より “サマータイム”(ガーシュウィン作曲)/歌劇「リナルド」より “私を泣かせて下さい”(ヘンデル作曲)/モテット「踊れ、喜べ、幸いなる汝よ」より “アレルヤ”(モーツァルト作曲)/ほか♬
 

★中村初恵さんのHP→http://www.hatsue-music.jp/

9月13日(その2)

スリランカフェスティバルの後、再び茅場町へ。2日連チャンで七針通い(笑)。この日は、大野まどかさんのレコ発記念ライブ。出演は、大野まどか、つばめ(銀塩つばめ)、笹口騒音ハーモニカ、倉林哲也。
 

最初の主演はつばめさん。ソロでの演奏&My Pal Foot Footとの共演。銀塩つばめでの延長のものと、ソロとしての新しい試みの部分とがあったと思う。肩に余計な力の入ってない歌い方が、とても心地よくて良かった。
 
次は笹口騒音ハーモニカ。なんて面白い人なんだろう!(笑)と、まずその味わい深いキャラクターに圧倒された。笑いを取る壷を抑えつつ、ほろっとさせるような美しい歌も聴かせてくれたり。最後の、携帯のアラームを使った演出もすごく良かった。


 

 
3番目に出演の倉林哲也も、何とも言えない存在感を放ったミュージシャンだった。歌ものと、インストの曲とあったけど、私は歌詞のある曲がとても印象深かった。童話のような世界観があって、ふと宮澤賢治の世界を連想したり。機会あったらまた聴いてみたい。


 

 
最後の登場が、大野まどかさん。ご自身のレコ発ライブということで、最初から最後まで緊張感みなぎった演奏だったと思う。会場は超満員。駆け抜けるようにあっという間の時間だった。大野さんの曲は、演奏自体がいつも素晴らしいのだけど、歌詞も文学的で素晴らしいなって思う。繰り返し聞くことで伝わってくる要素も多いように思う。だからCDで聴けるようになってとてもうれしい。6曲のみの収録だけど、完成度の高いアルバムに仕上がってると思う。(これで700円は安すぎるんじゃないでしょうか??)
 

大野まどか 「光の瀬音」
http://www.myspace.com/oonomadoka

9月12日

9月12日は、とても密度の濃い充実した一日だった。
 
まずは青山のPinPointギャラリーで開催されてた、こみねゆらさんの個展「にんぎょうげきだん」を観に。ずっと楽しみにしてたのに、結局最終日になってしまってギリギリセーフ。どの作品も繊細で細やかで素敵だった。入口すぐに展示されてた、ちいさなちいさな絵と、ちいさなちいさなちいさな人形たちがとても素晴らしかった。
 
それから、外苑前のギャラリーで開催されてた「ジョナス・メカス新作写真展」へ。彼の代表作「リトアニアへの旅の追憶」は、はじめて観た時から強烈に心を引き寄せられた作品。今回の展示は「フローズン・フィルム・フレーズ——静止した映画」と題されたフィルムの数コマを印画紙にプリントした作品群。これは写真なのか?、映画の延長なのか? 観ているといろんなイマジネーションが湧き上がってくる。ジャンルや技法のことなどは実際どうでもよくて、ジョナス・メカスが捉えたその場の空気と光が特別な存在感を放っていると感じる。この上なく優しくあたたかで、美しい光。
 
そのあと、少し時間をつぶそうと思って、近所にあるワタリウム美術館に行ってみた。ここのB1Fにはアート関連の書籍がたくさん揃った本屋がある。物色するだけで何も買わないつもりだったのに、入ってすぐに、サラ・ムーンのコンパクトな作品集が目に飛び来んできて、思わず手を出してしまう…。小さなサイズの写真集だけど、とてもよくできたセレクション。あれこれ見てるとたくさん買い込んでしまって危険なので(笑)、レジに向かおうと思ったその時、ずっと探してたチュルリョーニスの本(「チュルリョーニスの時代」)が目の前に! チュルリョーニスは私の一番好きな画家の一人。この本の著者は、ヴィータウタス・ランズベルギス。チュルリョーニス研究の第一人者であり、音楽家であり、独立後のリトアニアの初代大統領となった人。本を開くと、序文をジョナス・メカス書いていてびっくり。そういえば「リトアニアへの旅の追憶」の中で、とても心に響くピアノの旋律を弾いていたのはランズベルギスだった。

チュルリョーニスと、ジョナス・メカスと、ランズベルギス。リトアニアのことが、自分の中で突然ぐるぐると回り始めていくようで、とても不思議な感覚だった。いや、リトアニアの回りを、ただ自分がぐるぐる回ってるのか。
 
ワタリウムを出て、次は茅場町に移動。〈七針〉でのライブ。この日の出演は、穂高亜希子、北村早樹子、とうめいロボ。実力派の女性シンガーソングライター三人の、素晴らしい組み合わせ。最初の出演は穂高亜希子さん。前半がギター演奏の曲で、後半はピアノの曲。私はピアノの曲の方が今回は良かったなって感じた。はじめて穂高さんの歌を聴いたときは、胸を刺されるような痛みを感じた。でもその後何度も繰り返し聞くうちに、じんわりと心に染み入ってくる、透き通った優しい光のような感触を感じるようになった。とがったものと、穏やかで優しいものと、その両面が秘められてる歌だと思う。もっと、ずっと聴いていたい演奏だった。
 
次の出演は北村早樹子さん。ライブを聴くのは2回目。最初に聞いた時感激してCDを買って聞いたけど、やっぱりライブの方が歌声に緊張感があっていいなって思った。MCでの話、「へばの」という青森県六ヶ所村を舞台にした映画のエンディングに、北村さんの曲が使われてるのだそうだ。「へばの」は少し前に〈ポレポレ東中野〉で上映されてて、とても気になっていた映画。10月にも自主上映会があるそうなので、観に行こうかな。
 
最後の出演はとうめいロボ。とうめいロボさんのライブを聴くのは、これで4回目。毎回素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるのだけど、私の聴いた中では今回の演奏が一番充実してるように感じた。貫禄すら感じさせる、本当に素晴らしい内容だった。途中から伴奏で参加した添田雄介さんとの音のあわせ方も素晴らしかった。添田雄介さんは11月15日の七針でのライブに、銀塩つばめの端子さんと共演されるらしい。とても楽しみ。
 

七針からの帰り道の川沿いの風景。素晴らしいもの、美しいものに触れた後は、いろんなものがきらきらと輝いて見える。

memo

ヤン・ファーブル『寛容のオルギア Orgy of Tolerance』
2009年6月26〜28日  彩の国さいたま芸術劇場 大ホール

http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2009/d0626.html
 

前からとても気になってる公演。ヤン・ファーブルの公演はまだ一度も観たことないけど、一度は観ておきたいなぁってずっと思ってます。でも6月は行こうと思ってるライブが他にもたくさんあるし、彩の国さいたまは遠いしなぁ・・・とか、いろいろ迷ってます。まだ土日も席空いてるようですね。どうせ見るんならいい席の方がいいしなぁ。S席7000円か・・・うーーむ。

BANKROBBER/Live:穂高亜希子


 
先週の木曜日、穂高亜希子さん出演のライブイベントに行ってきました。
三軒茶屋GURUGURU企画のLIVE&DJイベントで、なんのこっちゃい西山さんのDJを挟みながら、穂高さんのライブは23時〜と、深夜2時〜の2回目ライブ、4時半〜穂高さん選曲DJ。私の仕事環境では平日のイベントに出かけるのはなかなか難しいのだけど、今回はスタートが遅い時間だったので自分にとっては都合が良かったです。
 

090521-1.jpg穂高さんのライブを聴くのはこれで3回目。前回のライブの時にCDを買って帰って、くりかえし聞いたけど、やっぱりライブに勝るものはありませんね。今回の演奏も気持ちがこもっていて本当に素晴らしかった。ピアノとギターを持ち替えての弾き語りでしたが、ピアノは今ひとつ調子が乗らなかったのか、途中からはずっとギター。ピアノの演奏も、私は良かったと思うんだけど。新曲やカバーの曲もすごく良かった。
 
穂高さんの歌は切々と心に響いてきます。凛とした美意識と、拠り所のない心情とが、微妙にせめぎあってる感じが、穂高さんの音楽の魅力になっていると思う。はじめて聴いた時、自分の内側のずっと奥深いところが揺さぶられる感覚がありました。自分の中でずっと大事にしてきた、ある「想い」というか、ある「世界」があります。それを言葉にするのはとても難しいのですが、ちいさなものやはかないもの、翳りあるものが秘めている美しさへの愛情のようなものです。いつの間にかすっかり視界が霞んでしまったけれど、そういうものを見失ってしまったら私はもう絵を描けなくなるだろうなって思う。穂高さんの歌を聴いていると、忘れかけていたそんな想いが込み上げてくるのです。今回の演奏を聴いていて、暗い風景を突き抜けた先に、ふと澄んだ光が差し込んでくるような場面を想像しました。賑やかなイルミネーションの光ではなくて、木漏れ日のように静かな光。
 
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2回目のライブが終わったのが、確か深夜の3時過ぎ。さて、どうしようかと一瞬思ったけれど、どうせ電車も走ってないし、穂高さんがどんな曲を選曲するのか気になったので、結局そのままラストまで。穂高さんのことばかり書きましたが、なんのこっちゃい西山さんのDJも素晴らしい選曲で、とても良かったです。一緒に行った友人と酒を飲みながらぼんやりした頭で聴く音楽はとても心地よくて、朝までがあっと言う間に過ぎていく楽しい時間でした。
 

 
次第に朝の光が窓から差し込んできました。室内が白い光に満たされて明るんでいく光景が、とても美しかった。穂高さん選曲のDJは、私の知らない曲がほとんどでしたが、やはりどれもいい曲ばかりでした。映画の中で聴いた曲が数曲あったような。選曲された曲のリストが欲しいです。

結局終了したのは朝の6時頃。外に出たらもうすっかり明るくなっていました…。ひさびさの夜明かしでしたが、素晴らしいライブイベントに立ち合えて本当に良かった。
 

 
GURUGURUは食事もできるBar。毎日のようにライブやDJイベントをやっているようです。食べ物も美味しかったですし、お酒の種類も豊富でした。こんなお店が近くにあったら、私もしょっちゅう通うんだけどな。本当にとてもいい感じのお店です。
 
★穂高亜希子 http://www.geocities.jp/keroyonnn2000/
★三軒茶屋GURUGURU http://50000.in/guruguru/

「ムーミン展」に行ってきました


 
大丸ミュージアムで開催されていたので観に行って来ました!

03_photo-1.jpg私はムーミンの物語以上に、トーベ・ヤンソンの描く絵が大好きです。絵のタッチを真似したくて、何度か模写してみた時期もあったくらい。今回はじめて原画を見ることができたのだけど、想像以上に素晴らしく、原画で見るペンの描線はすごく繊細で美しかったです。描いている情景によって様々なタッチを織り交ぜてあって、場面の空気感まで描き出しているのです。夜の暗い森の場面では太めな重い描線で描かれ、霧が立ちこめるシーンではとぎれとぎれの細い線で描いてあって、走っているシーンでは流れるような鋭い線が勢いよく画面を駆け抜けて・・・という具合に。

ちょっと意外に思ったのは、原画がとても小さく描かれていること。こんなに細かい部分まで描き込むのなら、もう少し大きなサイズで描けばいいのに、と素人考えに思ってしまうのだけど、きっとその小さな画面だからこそ凝縮されて生まれてくる世界があるのでしょう。

私は展覧会で作品を観るときはいつも、その作品が描かれた制作年を気にかけるようにしています。傑作を数多く世に残した画家たちも、必ずその人の転機となるような一年があって、その時期に代表作となる傑作が集中して生まれていることが多いのです。その一年の前と後では、作品の性質ががらっと変わってしまう場合もあります。飛躍的に良くなることと、悪くなってしまうことと、両方のケースがありますが・・・。と言っても、その判断はまったく自分の独断と思い込みによるものなので、何の根拠もありません。自分だけの楽しみ方です。。

01_photo-1.jpg今回の「ムーミン展」を観ながら、私が注目したのは「1957年」でした。その年に描かれた作品に、私にとって印象に残る作品がとても多かったのです。初期の頃は、どちらかというときっちりと、下絵を元にペン入れしてる印象なのですが、1957年頃を境に、ラフな描き方を多用するようになり、ペンの走りが勢いを増しています。モチーフをきちっと描き込むことよりも、場面の雰囲気や心理描写を描くことに、トーベ・ヤンソンの関心が移っていったのではないでしょうか。初期の頃から天才資質を発揮した優れた挿絵を数多く残していますが、1957年以降、一枚の絵としての完成度が更に高まっていったように感じました。

大丸ミュージアムって、私は今回はじめて行ったのですが、とてもちゃんとした美術館でびっくりしました。作品数がすごく多くって、とても充実した内容でした。カタログも良くできていました(DVDもついて1800円。お買い得です!)。あと、併設されたショップでのムーミングッズが大変な充実ぶり。まんまとその術中にはまった私たちは、両手いっぱいにグッズや本を抱えてレジに向かったのでありました。。

東京での開催は今月18日(月)まで。とても素晴らしい展覧会ですので、気になった方はお見逃しなく!

★ムーミン展@大丸ミュージアム http://www.daimaru.co.jp/museum/tokyo/moomin.html

「第1回 じゆう研究室」に参加しました

少し前に遡りますが、4月19日に「第1回 じゆう研究室」というイベントに参加しました。このイベントは、LUFTKATZEのひらかわ珠希さんにご案内いただきました。「じゆう研究室」は、活版印刷をきっかけに集まったグラフィックデザイナー3人(かわのゆうこさん、ひらかわ珠希さん、スズキチヒロさん)が、新しくスタートした企画なのだそうです。この先の展開がとても楽しみ。
 
★「じゆう研究室」のHPはこちら→http://jiyuken.blogspot.com/
 

この日のテーマは、「活字地金彫刻師」。1936年から40年にわたって、何万もの活字を手彫りでつくり続けた「清水金之助さん」を先生としてお迎えし、お話を伺いつつ実演を行う企画でした。私が印刷会社にいた最初の頃はまだ活版印刷がぎりぎり現役な時代でしたので、活版や活字を間近で見てきましたが、さすがに手彫りで活字を作る現場までは見たことはありません。今回はその作業を実際に目撃できるということで、行く前からとても楽しみにしてました。(直前まで開催日を間違って覚えてたけど…笑)
 
会場は赤坂コミュニティープラザ内の和室。会場に入ると、すでにたくさんの参加者で賑わっていました。女性の参加者がとても多かったです。活字に関心を持ってる人が、若い世代に広がってるんだと実感します。
 

 
 
 
会の進行は、まず最初に清水さんのお話から始まりました。この仕事をはじめたきっかけや当時の仕事内容、今日に至るまでの活字との関わりについて等、興味深い内容をたくさん聞かせていただきました。その後2班に分かれて順番に、清水さんの実演を間近で見学させていただくのと、岩田母型の高内一さん(↓ 下の写真)の元で活字製造の流れや活字の種類についてなどを学習しました。やはり現場の最前線に立っていた方の言葉は重みはあって、本で読む知識とは違う形で心に響きました。
 

 
私の認識が間違っていたのですが、地金彫刻は活版印刷の初期のもので、途中から機械で製造されたものに置き換わっていたのだと思っていました。ところが高内さんのお話を伺うと、機械で作られたものと手彫りの活字が共存する形態がずっと続いたのだそうです。すべて機械に置き換えたいと思っても、当時は製造のコストやスピードの問題があったのだとか(清水さんのような優れた職人さんなら、機械で作るよりも早かった)。つまり、当時の活字組版で刷られた印刷物には、手彫りの活字と機械で作られた活字が混在してる場合が多々あったということですね。私にとっては大きな発見でした。う〜ん、なんだかいたく感動します。。
 

 
↑ これが清水さんがつくった活字。上の方の活字が仕上げを経た完成品で、下の方の活字は粗削りした状態ものです。活字についての専門の知識があるなしに関わらず、とにかくこの美しさに誰もが驚かずにはいられないと思います。
 
右のパネルは清水さんが作った活字で試し刷りしたものを、大きく拡大したもの。なんて美しい形の文字なんでしょう!そして緊張感のある、きりっとしたエッジ! この文字を清水さんは、何の下書きもせず直に鉛の塊へ彫り込んで行くのです。しかも反転した図像で。とても人間業とは思えませんね…。「正字で彫れって言われたら、その方が難しい」とおっしゃっていました。
 
何より一番感激したのが、清水さんの人柄の良さ! 高い技術を持った職人さんと言えば、気難しくて作業中に話しかけたりしたら怒鳴られそうなイメージです。ところが清水さんは、こっちが恐縮するくらいに(笑)、本当に優しくてあたたかい方でした。真剣な表情で微細な作業に集中しながらも、「あ、なんでも聞いてくださいー」と声をかけてくださいます。そのやさしい声に甘えさせていただいて、私たちは時間いっぱいにあれやこれやと質問して、たくさんの貴重なお話を聞くことが出来ました。なんと贅沢な時間だったことでしょう。企画してくださった方々に心から感謝です!
 

 
清水さんが、およそ半世紀の間ずっと使い込んだ台座のレンズ。その無二の宝物であるレンズを持たせていただきました。あまりの歴史の重さに、手が震えます。。
 
清水さんのお話の中で、「最近の印刷物を見てどんな風に感じてますか?」という問いに対して、「やっぱり“味”がないですよ。私らの頃は一文字一文字みんな、人が手でつくってたんだから…」と答えてくださっていたのが、とても心に残りました。考えさせられることもたくさん。活版印刷を単に懐古の対象にするのではなく、良かった面と悪かった面をきちんと検証した上で、良い部分は貴重な文化として継承させていく努力をすべきなのだとあらためて感じています。

LIIVE@七針「消えるまえの音、起こるまえのこと」

「こもれび DE 安房直子朗読館」公演の後、西武柳沢駅まで歩いて行って、一度新宿に出て買い物してから、茅場町へ移動。大野まどか自主企画「消えるまえの音、起こるまえのこと」に行ってきました。ずっと前から楽しみにしてたライブ。
 

■この日の出演者
miyamoto zentaro http://www.myspace.com/miyamotozentaro
穂高亜希子 http://www.geocities.jp/keroyonnn2000/
Edmund Oak http://www.myspace.com/edmundoak
OLiM http://www.myspace.com/zer0xxx
大野まどか http://www.myspace.com/oonomadoka

美術:Windpress71 (森千章) http://windpress71.main.jp/
会場:七針 http://www.ftftftf.com/

最初の出番は宮本善太郎さん。最初の2曲はピアノの演奏。その後はドラムに移ってのインプロビゼーション(だと思う)。ピアノの曲も旋律が美しくて素敵でしたが、私はドラムの演奏の方が良かったと思います。緊張感のある演奏でした。
 

次の出演は穂高亜希子さん。先月、たまたまチラシを手にしたライブで〈DJなんのこっちゃい西山。presents「ひきがたり」〉という企画がありました。出演者は、とうめいロボ/鴨田潤(a.k.a.イルリメ)/いいくぼさおり/穂高亜希子/ナキミソ。会場は三軒茶屋guruguru。とうめいロボさんが出演だし、他の出演者も「質は絶対に保証します!」って、チラシを配ってた方が力強く語ってくださった(その人が、なんのこっちゃい西山。さんだったと後で知りました)ので、なんとなく行ってみたのです。で、そのライブの中で強烈に印象に残ったのが穂高亜希子さんでした。今回のライブにも穂高のさんの名前のクレジットがあって、この日がますます楽しみになっていたのです。
 

 
そしてこの日の演奏は、前回のライブ以上に素晴らしかった! 前回の演奏ではちょっと不安定な感じがあって、それがまた魅力的でもあったのだけど、今回の演奏は最初から気持ちがこもっていてとても充実した内容でした。ピュアなものと、激しい情念のようなものとが重なり合った歌。すごい才能持った人だと思う。これからしばらく追っかけて聴いてみたいです。
 

次の出演は、Edmund Oak。デンマークから来たミュージシャンで、この日が東京ツアーの初日だったそうです。一人でいろんな音を駆使してて面白かったのですが、事前準備の音源が多すぎるかなぁとか思ったり。私にはちょっと捉え難い感じの音楽だったけど、エキセントリックな演奏でした。
 

次の出演者はOLiMさん。以前誰かとの共演でOLiMさんのボーカルは聴いた気がするのですが、ソロでの演奏を聴くのはこの日がはじめて。最初の1曲目はカバーの歌だったのだけど、会場全体が息を飲むような、ちょっと異様なほどの感情の高まりを感じさせる演奏でした。なんて素晴らしい表現力なんでしょう・・・。彼女はまだ18歳なんだそうです。末恐ろしいミュージシャンだなぁって感じました…。カバーの曲も素晴らしかったけど、後半のオリジナル(?)の曲の方が私は良かったです。
 

そして最後に登場したのが大野まどかさん。大野さんの演奏を最初に聴いたのは、昨年9月の銀塩つばめ出演のライブのときで(→この記事)、その時に特別な才能を感じたミュージシャンでした。階段を駆け下りるようなスピード感のあるピアノの音と、奥行きのある歌声。そして歌詞の内容にも深みがあります。辻隼人さんとの共演のときも素晴らしかったけど、この日の演奏はたっぷり、じっくり、大野まどかさんの演奏と歌声が聞けて、とても良かった。ライブ終わった後、電車の乗ってからも、しばらくずっとのピアノの音が頭の中をぐるぐる駆け回っていました・・・。


http://www.youtube.com/watch?v=7rEe1nZIB0A

↑去年11月のライブのときの映像。この「スピード」は名曲ですね。
 

ちょっと話がずれますが、大野まどかさんの最初の曲は「灰色オオカミの子守唄」。英語ではない聞き取れない言葉だったので、「造語の曲なのかな?」って思ったら、MCのときに、〈「話の話」というロシアのアニメーション作品の中で、オオカミが歌っている曲…〉と説明があってびっくりしました。「話の話」(1979年)はロシアのアニメーション作家、ユーリ・ノルシュテインの作品。言葉では説明しきれない、傑出した映像作品です。高畑勲がこの作品を絶賛して紹介したことで、一度は埋もれかかっていたこの傑作が再び脚光を浴びることになりました。私が始めて見たのは20年くらい前ですが、当時は何度も繰り返して観たものです。その「話の話」と、この日のライブが結びつくなんて・・・。なんとも不思議な、そしてとてもうれしい気持ちになりました。好きな世界は、みんなつながってるんだなぁって思って。

部屋のどこかにVHSテープが、まだあったはず。探さなければ。。

「こもれび de 安房直子朗読館」に行ってきました

一週間経ってしまいましたが、先週の日曜、「こもれび de 安房直子朗読館」の公演に行ってきました。両親の見送りをしてから会場に着いたのが1時間の遅れ。すでに2つのプログムが終わってしまっていました(北原さんの朗読が聞けなかったのが残念…)
 

会場に入ってみてまずびっくり。ドアを開けたすぐ目の前にも人が立っていて、大きな会場なのに15〜20人くらい立ち見の人がいたでしょうか。超満員でした。

「きつねの窓」の朗読が始まっていました。朗読者は山崎よし子さん。朗読の経験が豊富な方なのだろうなぁと感じされる、しっかりとした語り口で情景豊かに物語の世界を広げてくれました。演出はすごく控えめで、音楽などは使わず、舞台演出的な効果は照明のみ。ただ、両手に、ききょう色の青い手袋をしていました。その手袋がきつねの染める青い指を連想させてくれるのです。朗読はあくまでシンプルに語り手に徹して・・・というスタンスなのだと感じました。ところが、きつねが青く染めた指で窓を作るシーン、山崎さんはおもむろにその青い手を頭上にかざし、窓を作る動作をするではありませんか。ちょっとびっくりしました。とても効果的な演出だったと思います。
 

次は近江竹生の朗読による「空にうかんだエレベーター」。私がはじめて「安房直子朗読館」に行ったときの演目のひとつがこの作品でした。はじめて安房さんの作品に接したときの感動を思い返して、竹生さんの語りが始まった途端、なんだか妙に興奮してしまったのでした(笑)。安房さんの作品は、優しさに満ちた心あたたまる話がある一方で、人間の心の内にある闇の部分や、寂しさや悲しさ、損失感、人生の不合理な場面を見据えた話も数多くあります。この「空にうかんだエレベーター」は前者の方で、本当に優しい気持ちになれる可愛らしい物語。

この物語にはともちゃんという女の子が登場するのですが、その子が本当にいたとしら、きっとこんな声だろうなって思わせるほど竹生の語り口がすごくあっていて素敵でした。歌の場面での音楽(作曲はTOMOFUMInさん)も、作品の世界にぴったりあっていて素晴らしいです。今回再演を聞いてみて、ますますそう思いました。
 

最後の演目は「花豆の煮えるまで」。朗読は沢柳廸子さん。この作品、私はまだ読んだことのなかった作品でした。山のふもとの旅館の娘、小夜にはお母さんがいない。お母さんは山んばの娘で、小夜が生まれて間もなくして山に帰ってしまった。でも、どうして山んば娘と父さんが出会い、結婚して自分が生まれたのか、小夜はどうしても知りたくて、おばあさんにせがんで聞くのです。すると、おばあさんは「花豆を煮えるまで・・・」と言って、お父さんとお母さんの出会いを話し始めるのでした・・・という物語。この話はおばあさんが小夜に語って聞かせている言葉で綴られていて、その語りを私たちも一緒に聞いているという構造になっています。沢柳廸子さんの朗読の語り口は、まさにそのおばあさんの語り口そのままになっていて、朗読が進むにつれ、物語の世界にすっかり引き込まれてしまうのでした。素晴らしい語り手であったと思います。

物語自体もとても魅力的な作品でした。山んばの娘の描き方が本当に素敵で、そんな娘なら、私が同じ場面に立ち会っても迷わず嫁に迎えるだろうなぁって、思ったのでした。今度あらてめて作品を読んでみたいです。

公演終了後、出演者の方が勢揃い。安房直子作品への深い想いを込めて、皆さんが気持ちのこもった舞台挨拶をしてくださいました。

ルーブル美術館展〜17世紀ヨーロッパ絵画〜

先週金曜日から3日間、両親が東京に遊びに来ていました。金曜の夜に仕事が終わってから、両親の泊まってるホテルへ直行。最近のことなど話しながら、ひさしぶりに父と酒杯を交わしました。土曜は父と母と3人で一緒に朝食を食べ、上野の美術館に行ってきました。本当は『阿修羅像展』を観たかったのだけど、朝10半の時点ですでに長蛇の列・・・。40分待ちというのであきらめて、仕方なく(…って言っちゃ悪いか)『ルーブル美術館展〜17世紀ヨーロッパ絵画〜』を観てきました。
 

こっちなら並ばすにすぐ観られるって案内だったのだけど、会場に入ってみたら、ものすごい人、人、人…。会場は入ってすぐの部屋はまったく作品に近づけない状況でした。母はその時点ですでに降参(笑)。出口の方に早足で行ってしまいました。
 
090414-9.jpgこの展覧会で一番の呼び水となってるのが、フェルメール「レースを編む女」と、レンブラントの「縁なし帽を被り、金の鎖を付けた自画像」。レンブラントの作品には近づけそうになかったのであきらめましたが、フェルメールの絵はどうしても観たかったので、なんとか粘って、割と近くの方で観ることができました。初めて見るフェルメールの実物の作品。やっぱり、すごい。特別な存在感がありました。レース部分などの緻密なタッチを評されることが多いのだけれど、人物の顔部分などは意外に面的な描き方をしているだなぁ、とか思ったり。あと影の部分に青緑系の色を混ぜてあって、それが画面全体に不思議な空気感、時間を閉じ込めたような効果をつくり出していることを知りました。この作品だけでも観れて良かった。
 
090414-7.jpg今回の展示の中で私が一番気に入ったのが、カルロ・ドルチ「受胎告知 天使」。しばらくじっと見入っしまいました。なんて美しい輝きを持った絵なんでしょうか。顔の表情と指の柔らかい表現が素晴らしい。この作品は連作になっているようで、隣に「受胎告知 聖母」もあったのですが、そちらはいまひとつ(あくまで私の感想です)。「天使」の方が格段に美しいと感じました。カルロ・ドルチのことを私はよく知らないので、これからもうちょっと調べてみたいです。
 
090414-8.jpgその他で私の気に入った作品は、アンブロシウス・ボスハールト(父)の「風景の見える石のアーチの中に置かれた花束」。とても小さなサイズの作品なのですが、ひと際異彩を放っていました。この作品、構図や描き方自体は古風なものだけど、主題や空間の捉え方がとても現代的だと思います。マグリットを連想させるような、シュールな世界観を感じました。

あと、ヤン・ブリューゲル(父)の「火」も素晴らしかった。ダークなモチーフが画面の隅々まで綿密に描き込まれていて、いろんな物語が浮かび上がってくるようでした。ずっと観ていたい作品でした。
 
あまり期待せずに観た展覧会だったけど、何点か素晴らしい作品に出会えうこともできて、やっぱり行って良かったです。全国巡回はあるのかな? 機会あれば、みなさんぜひ観に行ってみてください。