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グラフィックデザイナー&イラストレーター、横山ひろあきの雑記帳です。日々の出来事や想いを気ままにつづっています。

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(カテゴリー:小旅行・ちょっと遠出)

気仙沼〜大島の旅(その4)

間が空いてしまいましたが、気仙沼の旅のつづき。

旅の2日目。朝8時前に起きて、まずはホテルの大浴場でひとっ風呂。途中の美味しい珈琲屋さんで朝ご飯を食べて、フェリー乗り場へ向かいました。気仙沼大島へは、気仙沼港の観光桟橋(エースポート)から船に乗って、30分ほどの距離。

これが大島へと向かうフェリー。
さっそく乗船すると、船着き場のテントにはいつの間にやらカモメたちがたくさん。「さぁ、行こう! 出発だ!」と勇ましい顔をしています。
 

船が動き始めると、カモメたちもいっせいに飛び立って船を追いかけてきます。その必死な形相がすごくかわいい&おかしい(笑)。かもめたちの目当ては、人間たちが手に持っている「かっぱえびせん」。飛んでいるかもめたちに投げてやると,絶妙なタイミングで上手にキャッチ! その様子がおかしくって、いつまで見ていても飽きないのです。。
 

 

船に乗る観光客たちは皆、いつのまにかかっぱえびせんを用意していて、私はちょっとびっくり。帰りの船で気づいたのだけど、船の甲板にある自動販売機で売ってました。あんな塩辛いもの食べて大丈夫なんだろうか?と心配したりもしたけど、自動販売機の横の貼り紙に「かもめも大好き、かっぱえびせん! 船長より」と書いてあったので、きっと大丈夫なんでしょう。きっと。
 

 

 

かもめたちの飛ぶ姿を、すぐ間近でずっと見ていた。足のぷっくらとしたところとか、たまわらくかわいくて、手を伸ばしてさわりたくなってしまう。そして大空を自由に飛んでいる鳥の姿は、本当に美しいな…って思った。
 

 
カモメたちを見ている間に、あっという間に大島へ到着。島の周りにはまるで畑のように、間仕切りされた魚場がひしめき合っています。今にも雨が降り出しそうな天気だったのだけど、島に着いた頃は空が晴れ渡っていました。真夏のような陽が照りつける中、いよいよ島へ上陸です。(つづく)
 

気仙沼〜大島の旅(その3)

宿に戻ってお風呂入って少し昼寝したら、気持ちが持ち直しました。
美味しいものを求めて、行動開始。
 

宿から歩いてすぐのところにあったお店。「さんま笹寿司」の文字につい誘い込まれると、店内には美味しそうなものがたくさん。「さんま笹寿司は店内でもお召し上がりいただけます」と書いてあったので、お店の人に声をかけてさっそく試食。ひとつ一つ丁寧につくられていて、とっても美味しかった! つくり手のこだわりと誠意を感じました。お茶もご馳走になって、ちょっとオマケもいただいて(笑)、気持ちがほっこりしました。

このお店は通販にも力入れてます。ご興味持ってくださった方はぜひ。
★斉吉魚問屋 http://www.saikichi-pro.jp/

 
この日、私が目指した先は、気仙沼で有名な居酒屋「ぴんぽん」。地元の人たちでいつも賑わっているお店ということで、きっと美味しいに違いないと目星をつけました。20分くらい歩いてようやくお店を発見。お店に入ると、すでに店内はたくさんの客で大賑わい!(↓写真は入口すぐ手前にあったボトルの山)

常連客たちが次々と出入りして、地元の漁師さんらしき人がいかつい声で友人を呼び寄せたりしてて、店員は大わらわ。私たちは店の入口でしばらくきょとんと立ちつくしてしまいました。やっと店員さんが気づいてくれて、「悪いけどとりあえずここ座ってて」と言われた場所は、ティッシュやおしぼりが置いてあったちいさな机…(笑)。まぁ、ここでひるんでも仕方ないので、机に載ってたものを勝手に片付けさせてもらって、そこを陣地と腰を据えました。
 

で、待ちわびたあとに出てきた刺身は、もう、掛け値なしに美味しかった! あわびも帆立もウニも海老も、ほんのり甘みがあって、身が引き締まっていて味が濃い。海の旨味がぎゅっと詰まった感じ。そしてとにかく安くてびっくり。この刺身盛り(写真は半分くらい)はこれで2,000円。二人で散々飲み食いして、合計で6300円でした。安い!
 
 

左はなんとサメの心臓。クセがあるように見えると思うけど、実際は意外にあっさりしてて美味しかった。右は確かサワラかなんかだったと思うけど…この辺りにはもう酔っぱらってて記憶があいまい(笑)。他にもいろいろ美味しいものあったけど、写真を撮るのも忘れるくらい、がっつりと夢中で食べてしまいました。
 

 
「地方へ行ったら、下手な料亭より庶民的な居酒屋に行くべし!」という、飲んべえの格言(?)は正しいですね。ちょっと忙しなかったけど、本当に美味しくて楽しいお店で大満足な夜でした。このあともハシゴする気満々だったのだけど、もうこの1件でお腹も気持ちもいっぱい。次の日に備えて、早めに床につきました。(→二日目へ続く)

気仙沼〜大島の旅(その2)

気仙沼はフカヒレの特産地としても有名なんだそうです。
 
荷物をいったん宿に預けて、お昼を食べにでかけました。宿の人に聞いたら、「市場の隣にある物産センターの上にレストランが数件あります」と教えてくれたので、そこへ向かってみる。いかにも観光客相手という感じだから少し気が引けたのだけど、とにかく暑いし、お腹空いたし…「ま、いいか」って軽い気持ちでその中の1軒に入ってみました。
 
メニューを手に取ると、さすがフカヒレの特産地! フカヒレをあしらった美味しそうなメニューがずらり。。

で、私たちが頼んだ「ふかひれ姿煮ラーメン」と「ふかひれ天ぷら丼」。
どうです! 美味しそうでしょう〜?

 

ところがですね……、それがまったく美味しくなかった。むしろ、ま○い…。自分が頼んだメニューだけが失敗だったのかと思って、周りを見渡したら、他のテーブルの客たちもみんな食べ始めたら無言になってた(笑)。どうせ観光客相手だからと、いいかげんに調理して客に出してるのがお店全体から伝わってくる。ネット上の文章はいろんな人が見る可能性があるから、批判めいたことはできるだけここには書かないようにしてるけど、でも、でも、あの料理のひどさは特筆すべきもので、それまでの浮かれた気分が吹っ飛んでしまったほど。誰かに語らずにはいられなかった。皆さん、気仙沼に行くことあったらあのレストランだけは気をつけてください。
 
 

↑ここがその物産センター。1階には美味しそうな海産物がたくさん並んでいました。でも私たちはあまりにもテンションが下がってしまって、とても買い物する気持ちにはならず、ぐるっと見ただけで素通り。
 

↓殻付きの海鞘はこんな姿。これを食べようと最初に思った人間は勇気ありますよね。。


 
外に出てうだるような暑さの中、失意に沈みながら、朦朧とした頭で港町周辺をしばらく歩きました。カメラ持っての散策もいつになく気が乗らず、この日はまったくいい写真撮れませんでした。田舎の港町ならではの、風情ある景色もあったのだけど。
 

 

  

 
いったん宿に戻って、気持ちの立て直しをすることにしました。
 

気仙沼〜大島の旅(その1)

二泊三日の小旅行で、気仙沼に行ってきました。

今回の旅は、仕事でもなければ、何かしら高尚な目的あってのことではありません。目的はただ一つ、美味しい海鞘(ほや)を食べること(笑)。この季節の海鞘の美味しさは特別!…という話を聞いて、友人に引っぱられつつ、気仙沼への旅を思い立ったのでした。
 

 
東北新幹線で「一ノ関」まで2時間半くらい。そこから大船渡線に乗り換えて1時間ちょっとで「気仙沼駅」に到着。でも「気仙沼駅」はフェリー港からも、市街地からも離れているということだったので、更に気仙沼線というローカルな路線に乗り換えて「南気仙沼駅」まで行って、1日目の宿を取りました。
 

 
右が大船渡線で、左側は気仙沼線。この写真は普通列車ですが、私が乗ったのは「快速/スーパードラゴン号」というすごい名前の車両だった。仰々しい名前がついていますが、見た目もこの普通列車とあまり変わらず、しかもほとんどの各駅に停車していたようで、どこが「スーパー」なのか私にはさっぱりわからなかったです。。(笑)
 

 

 
気仙沼線は、私が郷里で高校へと通った路線に似た空気感があって、なんだかとても懐かしい気持ちが込み上げてきました。
 

(ちなみにその路線は、鳥取県米子市と境港市をつなぐ「JR境線」といいます。今では「ゲゲゲの鬼太郎列車」にされてしまいました…。ちょっとカナシイ…)

水上の風景(その4)〜おしまい。

水上シリーズ、最終回。2ヶ月かかってしまいましたが・・・
まずは、水上で出会った猫たち。


 

 

今回の旅の一番の収穫、必殺「猫団子」〜!


 
少しカメラを引くと、↓こんな風に寄り添ってました。離れてる1匹が気になります。

 

皆と一緒にくっつきたいんだけど、どこかひねくれた気持ちがあって・・・
誰だって、そんな気分の時もありますよね。
 


 
今回、たった2泊の旅行だったのだけど、2つのホテルに1泊ずつ宿をとった。最初に泊まった某Mホテルは、敷地も建物も大きくて立派で、館内もとてもきれいで快適だったのだけど、なんとなく味気ない感じがした。料理も温泉もイマイチ。
2日目に泊まった宿は、正直、期待していなかったのだけど(破格に安いプランの部屋を予約してたので…)、サービスの行き届いたとても心地いいホテルでした。建物の外観はかなり老朽化してるし、部屋も細かく見ていくと傷んでるところがたくさんあった。でも部屋は広くて快適だったし、良くも悪くも温泉街の老舗ホテルという風情が館内全体に漂ってて、私にとっては愛着が持てた。何より温泉のお湯がとても良かった。前日の宿とは、お湯の質が全然違う印象?!
 

早い時間にチェックインしたので、↑この広い露天風呂をひとりで貸し切り状態♪
 

そして料理がとてもとても美味しかった!どれを食べても美味しかったしボリュームもあって、完食したらしばらく動けないくらいお腹がいっぱいになってしまった。。(笑)
 

翌日の朝食もこんなに盛りだくさん。鉄鍋のみそ汁が美味しかった〜。和室10畳の部屋でこの2食がついて、1泊7500円。安い!(ワケアリのプランだったけど…笑)
★この宿です→水上温泉 ひがきホテル http://www.higakihotel.co.jp/
 

水上は舞茸が有名なんだそうです。瑞々しくて肉厚な舞茸の天ぷらを、いろんなお店で味わえます。冷たい雨が降りしきる中、帰りの電車へ向かう前に寄り道して、おじいさんが露天で売ってた舞茸となめこをおみやげ(←自分への)に買って帰った。前日に通りがかった時、「これ見てよ。すごいでしょ!」って、おじいさんが満面の笑顔で声かけてくれたので。
 
 
 

本当にりっぱななめこと舞茸!もちろん美味しくいただきました。
 

 
水上の旅の話はこれでおしまい。そして、今週末は気仙沼へ遊びいってきまーす♪

水上の風景(その3)

しつこく水上の風景のつづきです。
 

 
水上の温泉街周辺を、ぶらりと散歩した。いつもながら、私は脇道へ脇道へと歩いて行ってしまう。水上の面白いのは、民家の間の脇道を抜けて行くと、こんな風にぽっかりと線路に出くわしてしまうことだ。線路との仕切りがなくて、簡単に線路上に立てる。
 

写真を撮っていたら、近所のおばあさんが「気をつけてね〜」って声をかけてくれた。そう言いながらおばあさんは、ゆっくりとした足取りで線路をまたいでいった。
 

散歩の途中でみつけた「菅原神社」。境内はちょっと寂しい感じだったけど、建物の造りが細部までよくできていて、とても趣のある神社だった。由緒ある神社のようだったけど、ほったらかしにされてるようで、ちょっとかわいそう。
 

 

 
本殿の裏側は荒れ放題の墓地に続いていた。そこから水上の温泉街を見渡した風景は、ひどく哀愁に満ちていて美しかった。
  

 

2日間ずっと、天気が悪かったのが残念。この散歩してる間はちょっとだけ晴れ間が覗いたこともあったのだけど。雨が降り始めると、風邪ひきそうなほど寒かった…。天気がよければもっといろいろ散策して写真撮ったんだけどな。
 

 

 

 
 

水上の風景(その2)

すかり間が空いてしまいましたが・・・
4月に水上に行ったときのつづきの写真です。
 

前回の記事では、寂れた風景ばかり並べてしまったけど、みなかみ町の真ん中に利根川の源流が流れ、豊かな自然に恵まれた土地でした。私が行ったときは4月上旬だったのだけど、遠くに望む谷川岳はまだスキーができるほど雪がたくさん残っていて、日に照らされて白く輝く山景が、とても美しかった。
 

 
↓ここが水上温泉の源泉!?


 
水上温泉街は時代に取り残された町・・・という印象を持ってしまったのだけど、その後TVの番組で水上がアウトドアレジャーを楽しむ観光客で人気のスポットになっている、と紹介されてるのを何度か見ました。ラフティングやアウトドアスポーツの本場、ニュージーランドから専門の資格を持ったプロのガイドスタッフ達がたくさん滞在しているそうで、海外からの観光客も近年急速に増え始めたのだそうだ。こうやって、一度は廃れてしまった土地が、再び元気を取り戻して行っているのを知って、私もなんだかとても嬉しい気持ちになった。。
 

 
今回の旅行はたった2泊だったので、温泉三昧で終わってしまったけど、もっと足を伸ばせば散策に気持ちいい場所がたくさんあるんだろうな。谷川岳周辺もゆっくり歩いてみたいし、少し時間かかるけど、尾瀬までも日帰りできる距離。夏の水上も楽しいだろうな。
 

 

 
東京から意外に近いことがわかったので(普通列車に乗って約3時間半程度)、また時間つくってゆっくり遊びに行きたいなぁ。

水上の風景(その1)

またまた間が空いてしまった。急にまた仕事が忙しくなってきました…。

私の業界では、連休前になるとよくお客さんとこんなやりとりがあります。「連休前にいろいろお願いしてしまってごめんなさいね。あ、でも仕上りは休み明けの朝一とかで大丈夫ですから」って、ニコニコした顔でどっさり原稿入れられます。「休み明けでいいって……要するに休み中仕事しろってこと…?」って、げんなりした気持ちで仕事仲間たちと顔見合わせてしまいます。うー。


先々週前のことだけど、群馬県の水上温泉に行ってきました。
 

 
水上にははじめて行ったのですが、妙にのんびりした空気感があって、とても心地よいところでした。きっと一昔前は大勢の観光客で賑わった町だと思うのですが、今は閉鎖したホテルや旅館があちこちにあって、時代に取り残されたような風景が広がっています。それら廃墟となった建物と、温泉街らしい町並みとが混在した景色に、私はむしろ特別な情緒を駆り立てられました。
 

 

 
廃れ崩れかけたものたちって、どうしてこんなにも甘美な感傷を誘うのでしょう。
この町は、開発の大波に飲み込まれなくて良かったんだと思う。
 

金沢〜能登〜ピアノ炎上〜粟津潔展(その7)

展示をひととおり見終わった後、まだ少し時間があったので、21世紀美術館の隣にある兼六園に行ってきました。

あ、その前に、美術館と兼六園の間にある石浦神社に立ち寄りました。こじんまりとした敷地でしたが、歴史の深さを感じる立派なお社がありました。

 

そこにあった妙に可愛らしい「手水」の図解。(れいほーさん、真似してごめんなさい)
 

そもそも兼六園がどういうところかさえも、よく知らなかった私。庭園を鑑賞する素養はないので、あまり期待してなかったのですが、想像していたよりはるかに素敵な場所でした。人工的にカチッっとつくり上げられた庭園は、なんだか無機質な感じがして魅力を感じないのですが、ここは自然のままの部分と人が入念に手入れしている部分との調和が素晴らしいと思いました。古いお寺の庭のような心地よさを感じます。

入園してから最初に見入ってしまったのは、庭園らしい景観よりも、池にいた食欲旺盛な鯉と鴨たち。そして歩き始めて5分もたたないうちに、最初にあった茶屋でさっそくくつろいでしまいました。

これは「じぶ煮そば」。美味しかった!じぶ煮は金沢の有名な郷土料理で、それをそばにのせたもの。そのお茶屋さんでオリジナルなんだとか。甘辛いたれとワサビの相性が絶妙でした。
 

兼六園は、いかにも庭園らしい景観も素敵でしたが、それ以上に見入ってしまったのが、この見事な苔でした。岩の上にも木々の肌にも、この苔がびっしりと根付いてました。

 


そしてこのぐにゃぐにゃと不思議な形で伸びている松。美しい、というのとは違う、もっと激しくて力強いものを感じます。ずっと見ていると、自分の内側に何かざわめくものが込み上げてくるような…。

 


美しかったのは、この見事な梅林。うっとりするほど美しい梅の花。

 

ここが満開のときは本当に見事な景色になるんでしょうね。満開の時にもう一度観に行ってみたいな。
 


たった二日の日程だったけど、すばらしいものにたくさん出会い、密度の濃い時間を過ごすことできて、本当に楽しい旅でした。金沢をもう少し歩いてみたかったのだけど、今回はその時間がなかったのが残念。またゆっくり遊びに行ってみたいです。

金沢〜能登〜ピアノ炎上〜粟津潔展(その6)

二日目もこれ以上にない、快晴の青空が広がりました。

午前中に宿を出て、再び金沢へ。

その前に、旧富来町の病院にある粟津潔作の銅像を見に行ったりしました。前回の記事に書き忘れましたが、旧富来町は粟津さんの父親の実家があったところなのだそうです。その縁の地で、いろんな偶然と経緯の中で、あのような歴史に残るライブイベントをやることになったのだから、人のつながりや地縁というものは、本当に不思議なものだなぁって思いました。

 

お昼過ぎに、再び香林坊まで戻ってきました。そして「金沢21世紀美術館」に到着。ずっと前から行きたいと思っていた「21世紀美術館」、そしてそこで「粟津潔展」を観られるなんて! 会期ギリギリになってしまったけど、なんとか間に合って本当にうれしかった。と、その前にまずは腹ごしらえ。

 

金沢市役所裏に流れる川と、近所のお店で食べた「カニ味噌手打ちパスタ」。

美術館は入り口付近からたくさんの入場者で賑わっていました。展示の様子を許可いただいて撮影させてもらったので、ちょっとだけご紹介します(画像の転載はしないでくださいね)。

今回の『荒野のグラフィズム:粟津潔展』は、21世紀美術館所蔵の約2600点の粟津潔作品コレクションから、1500点という膨大な点数の作品が展示されました。2年前に、東京文京区の「印刷博物館」でも『粟津潔展 EXPOSE '06』(→その時の記事)が開催されたのですが、今回はそれよりはるかに大きな規模の展覧会。まず展示室に一歩足を踏み入れて、壁面いっぱいに展示された作品数と、そのスケールに圧倒されました・・・。目眩がするような気分で、しばらく呆然と作品を見上げてしまいました。

粟津潔さんの代表的な作品は、今まで何度も観ているにもかかわらず、その膨大な作品を一同に介して向き合ったときに感触は、何とも表現しようのない、特別なものでした。うまく言えないのですが、それら作品群が制作されたときの作者の激しい情念と、時代の空気のようなものが、垣間見られたような気がしたのです。

これは、1977年のサンパウロ・ピエンナーレに出品した代表作《グラフィズム》の再現。個別の作品を「観る」というより、部屋全体から発せられるものを「体験する」作品だと思います。一人の女の子が黒い色面のキャンバスの前で、長い時間立ち尽くしていました。

私が一番長くいた部屋は、このポスター作品を集めた展示室。なんという作品数なんでしょう・・・。そしてその一枚一枚が宣伝美術である機能性や目的を越えて、表現としての存在感を力強く発揮しているのです。印刷・デザインの仕事に携わっている側の人間の一人としてこれらの作品に向き合ってみると、そのどれもが大変な技術と労力を費やしているのが想像されます。用紙の選び方から、製版の仕方、印刷工程まで、今では考えられないような手間と創意工夫が秘められてるのではないでしょうか。その制作過程の現場を想像すると、正直ぞっとすると同時に、たまらなくわくわくする気持ちが込み上げてきます。どんなに大変なことがあっても、そこに関わった人たちはきっと、その時点の技術レベルを超えて、自分の能力をも超えて仕事したのでしょう。制作過程でのイレギュラーな出来事さえも包み込んで、作品に昇華してしまう力強い・・・というか、恐ろしい執念のようなものが、粟津潔さんの作品の奥に横たわっているように感じました。

展示室はいくつかのテーマで分かれていて、多ジャンルに渡る仕事を手がけてきた粟津潔という作家を、多元的に多面的に掘り下げていたのが、とても良かったと思います。年代別に作品を展示するより、作品の本質を垣間見れる切り口になっていたと思う。

そして写真作品を集めた部屋もすごく良かった。日常的な場面の中にノスタルジックな情感を喚起させる画を見いだしていたり、当たり前の景色のはずなのに、こんな場面の切り取り方ができるのかと、驚かされたり。あ〜、粟津潔さんの写真を集めた本が欲しい。

中庭にディスプレイされていたのは、粟津さんの作品の象徴ともいえる「ウミガメ」。明るい日差しに照らされて、気持ち良さそうでした。

21世紀美術館はとても天井が高くて、展示室も広々としていて、ゆったりとした気分で作品を楽しむことができます。ガラスを外壁にたくさん使っているので、日中は外光が入って明るく、美術館特有の閉塞した感じがありません。

「粟津潔展」を観るだけで、かなりのエネルギーを使ったので、常設展はほとんど観ないで終わりました。なので、21世紀美術館のその他の展示についてはあまりコメントできないのですが、美術館全体としての展示のレベル・質は非常に高く、本当に素晴らしい美術館だと私は思いました。閉館後も自由に入れるフリースペースや、ライブラリー、市民ギャラリー、託児室もあったりして、観光客以上に市民の来館者を大切にしてる姿勢を強く感じました。高い評価を受けている美術館であることを、今回実際に足を運んでみて、充分に納得したのでした。

 

これは例の有名なプール。上からと下から。家族連れの人たちは喜んでました。
 
2005年にフィルムアート社から刊行された、「粟津潔 デザインする言葉」の本文DTPの制作を、私もお手伝いさせていただきました。素晴らしい内容の本ですので、ものをつくる仕事をしてる方、ぜひ手にとってみてください。

その本の中の一文———。
「私たちの未来に執念がほしいのです。可能性を無限にふくんだ歓喜に満ちた空白の時代、そこにわれわれは住んでいます。」
 

★粟津潔 オフィシャルサイト Kiyoshi Awazu.com
http://www.kiyoshiawazu.com

(つづく)※次がラストです

金沢〜能登〜ピアノ炎上〜粟津潔展(その5)

(増穂浦海岸)

午後5時。少し陽が傾いた頃に、「ピアノ炎上2008」が始まりました。
防火服に身を包んだ山下洋輔が、さっそうと登場。

 

ピアノに向い一呼吸あった後、いきなり演奏が始まりました。そして演奏が始まってすぐに、ピアノの上蓋から赤い炎が燃え上がりました。

火はあっという間に大きくなり、凄まじい勢いの炎と煙がピアノを覆います。その炎と闘うかのように、激しく、ときには握り拳を使って、鍵盤を叩き続ける山下洋輔。次第に弦を焼き切って行ったのでしょう。最後は高音の部分しか音が出なくなって行ったのだけど、燃えるピアノと山下洋輔とがせめぎ合うような場面が展開していきました。

すべてがあっという間の出来事。そして、いよいよ炎がピアノ全体を包み、これ以上の演奏は不可能という状況になって、山下洋輔はピアノを離れました。その後も燃え続けるピアノを、会場の傍らでずっと見届けていました。

ライブ演奏として「ピアノ炎上2008」は、そこで終わったわけですが、その後も、ますます激しく燃え上がるピアノを大勢の観客が見守り続けました。ピアノの一部が焼け落ちる度に大きな歓声を上げたりしながら。

山下洋輔の演奏が終わってしまうと、日常の世界に急いで戻らないといけないかのように世間話始める大人たちもたくさんいましたが、その一方で、真剣な表情でピアノをみつめてる子供たちをたくさん見かけたのが印象的でした。私の近くにいた子は(まだ4〜5歳だったでしょうか)、父親に肩車をせがんで燃えるピアノを見ようとしてました。その子の記憶の中に、この日の出来事がどんな風に残っていくのでしょうか。

途中、お寺のお坊さんがお経を上げて供養する場面があったりしながら、およそ一時間くらい、大勢の観客がピアノの運命に立ち合っていたのですが、いよいよ陽が落ちて暗くなり始めた頃合で、スタッフたちが火消しの作業に入りました。

しっかし、その消火活動が一つの見せ場でもありました。最初に1本目の消化器を吹き付けたのだけど、炎は弱まるどころかますます勢いを増すかのように燃え上がりました。そしてものすごい量の煙。火の勢いが治まるまでに、5〜6本の消化器を使ったでしょうか。

ついに息絶えたかのようなピアノの残骸・・・。
祭りのあとのような寂しさが込み上げてきます。最後にショベルカーまで投入して撤収作業。バキバキと音を立てて、燃え残ったピアノの残骸が崩れ落ちて行く様は、ちょっと切なかったです。葬儀の時に、灰になった骨を骨壺に押し込んでるときの場面を、ふと思い起こしたりしました。

さすがにこの頃には、ほとんどの観客はいなくなっていたのですが、私は最後までそこに立ち会えてすごく良かったと思ってます。その一連の出来事の全てが、「ピアノ炎上2008」という素晴らしい舞台の体験だったのだと感じました。

演奏の時間は短かったけれど、それだからこその凝縮された一瞬を楽しむことができたのだと思います。そして演奏後も大勢の人が火を囲んで一緒に過ごした時間は、遠い日のお祭りのような、なつかしくてあたたかいひとときでもありました。

暮れゆく海岸と、燃えるピアノ——。本当に美しい光景でした。

(つづく)

金沢〜能登〜ピアノ炎上〜粟津潔展(その4)

(増穂浦海岸〜志賀町富来)

ホテルにチェックインしてからも、「ピアノ炎上」の本番まで、まだだいぶ時間があったので、ホテル周辺を散策することにしました。もちろんカメラを持って。

旧商店街の辺りをぶらぶらして、そのままあてもなく気の向くままに歩いてみました。


 
 

この辺りの古い家並は、造りがとてもしっかりしていて、風情がありました。玄関の門や窓の木枠などに、手の込んだ細工のしてあるものをたくさん見ました。腕のいい建具師たちが、かつてはたくさんいたのではないでしょうか。

そして、猫にも出会いました。でも近づけなかった・・・残念。家並みのあちこちに細い路地がたくさんあったので、猫たちにはすごく住みいい環境なのでしょう。


 
 
 
これこそモダンアート!? 刺激的です。

 

こんな変なものをみつけて楽しみながら、あちこちぶらぶらと歩いているうちに、頃合いの良い時間になってきたので、一度宿に戻って温泉(!)入ってくつろいで、それから海岸沿いを歩いて再び増補浦海岸まで歩いて行きました。

途中の砂浜でカニを発見!
 

波打ち際を必死で逃げるカニ!! それを逃すまいと追いかける私!

そこに激しい波しぶきが!!!
・・・と、既に死んでたカニで遊んでみました(笑)。アホですみません。。

20分くらい歩いたでしょうか。ふと振り返ると、砂浜には自分の足跡がはるか彼方まで。こんな風景をながめて、つくづくと幸せな気分になったのでした。


 

会場にはすでにたくさんの人が集まっていました。美術・音楽の方面の仕事をしている人から、一般の家族連れまで、来ている人は様々。東京や大阪方面から来ている人もたくさんいたようですし、もちろん地元の方もたくさん集まっていました。これからはじまることへの、期待と緊張感が、徐々に高まって行きます。

 


 

皆がみつめる先には、一台の黒いピアノ・・・。

(つづく)

金沢〜能登〜ピアノ炎上〜粟津潔展(その3)

(金沢〜能登・増穂浦海岸)

友人3人と合流し、車に乗せてもらって、能登半島へ。
能登有料道路を走って約1時間半、志賀町増穂浦海岸に着きました。朝はどんより曇っていましたが、次第に空が明るくなって来て、快晴の青空が広がってきました。

現地にはすでにたくさんのスタッフが来ていて、真剣な表情で会場設営や、ピアノの準備をしていました。

 

21世紀美術館のスタッフ、撮影関係のスタッフ、ピアノ設営のスタッフ・・・などなど、大勢の人たちが代わる代わる出入りします。ディレクターのKさんは到着するとすぐに美術館スタッフの方が駆け寄って来て、事前打ち合わせで忙しくしていました。荷物運びでも後片付けでも、私も手伝えることがあればやるつもりでいたのだけど、人手は充分たくさんあるようだったので、とにかく邪魔にならないようにと思って、その周辺で写真撮ったりしてました。

この美しい海岸に、ピアノが置いてあるという光景・・・もうそれだけで刺激的です。

 

澄んだ海をみつめ、清々しい風を感じながら砂浜を歩いているうちに、なんだか子どものように心がはしゃいでしまうのです。前の記事にも書きましたが、増穂浦海岸は日本小貝三名所の1つなのだそうです(ちなみに他の2カ所は、紀伊の「和歌浦」と鎌倉の「由比ヶ浜」なんだそうな)。ふと足下をみつめると、小さな貝殻が無数にあって、その色合いの美しさ、形状の面白さに、夢中になっていました。


 

他にも砂浜でみつけたおもしろいものいろいろ。。。

これはいったいなんなのでしょうか?

海の生き物の造形には、摩訶不思議な世界がありますよね。

カニの足が、あちこちに落ちていました。こういうのをみつける度に、子どものように声を上げて喜んでる私たち・・・(笑)
↓は、友人のJさん。すっかり少年の心に戻ってるような後ろ姿。


 

海岸沿いをずっと歩いて行った先で、おばあさんが海藻を拾っていました。


 

海も砂浜も本当にきれいで、その風景をぼーっと眺めているだけで満ち足りた気持ちになります。こんなにもゆったりとした時間を持てたのは、本当にひさしぶりのこと。

海を見ながらお弁当を食べて、しばらく砂浜でぼ〜っとして過ごしたのだけど、まだ、夕方の本番までにはだいぶ時間あったので、いったん宿に荷物を置きに行くことにしました。その日の宿になっていたのは「シーサイドヴィラ渤海」。館内はとてもきれいだし、部屋も広くて、とても居心地の良いホテルでした。
http://www.togi-resort.jp/facilities/bokkai/index.html

(つづく)

金沢〜能登〜ピアノ炎上〜粟津潔展(その2)

金沢・能登の旅から帰ってきて、早一週間がたってしまいました。
続きを書こうと思いつつ、最近家に帰ってからパソコンに向かうと急に睡魔が襲ってきてしまうのです…。他にもいろいろ書くことや写真も溜まってきたので、この数日のうちにがんばって更新しますね。


(東京〜金沢)
金沢には夜行バスを使って行きました。時間とお金を節約したかったので。夜行バスだと、金沢まで片道5300円。安い! とはいえ、過去2回の夜行バス体験ではほとんど眠れなかったので、今回も覚悟していたのですが、さすがに3回目にもなると体も慣れたのか、今回は案外よく眠れました。

夜の11時まで会社で仕事して、11時40分発のバスに乗って、その8時間後には金沢の地に自分がいる・・・ってことが、とても不思議な気分でした。

バスの濡れた窓ガラス越しに見る朝日。滲んだ光が、幻想的できれいでした。
 

金沢駅に着いたのは7時半。空はどんよりと曇っていました。
日本海特有のどんよりとした灰色の雲。湿気のあるひんやりとした空気…。それは、私の郷里と同じ感触のものでした。

 

なんだか実感がないまま、ぼんやりした頭で金沢駅構内をうろうろと徘徊し、喫茶店でコーヒーを1杯飲んでから、金沢へ先に来ている友人に電話しました。「香林坊」というところで落ち合うことになったので、駅前のターミナルからもう一度バスに乗りました。

とりあえず「香林坊」のバス停で降りれば、どこか案内が出てるだろうと思って周りを見渡したのだけど、それらしきものは見当たらない。さて困ったなぁと思って、通りを歩いてる人に「香林坊ってどうやっていくんですか?」って聞いたら、「この辺り一帯を、香林坊って言うんですよ」と笑って答えられて、少し恥ずかしい思いをしました(笑)
 

「石川近代文学館」という建物。素敵な外観でしたが、現在は改装中のようでした。


あー、こんなに細かいこと書いてたら、1月かけても終わりませんね。。(笑)
このあとは、もうちょっと駆け足で文章書くことにします。

(つづく)

金沢〜能登〜ピアノ炎上〜粟津潔展(その1)

金沢・能登に行ってきました。
たった二日間の日程でしたが、とても密度の濃い時間を楽しむことができました。
素晴らしいことがたくさんあって、いっぺんには書きれないので、何回かに分けて記事を書いていこうと思ってます。でも、あまり間が空くとノリが悪くなるので、とりあえず二日間の旅をダイジェストで。。。
 
今回の旅の目的は、金沢の21世紀美術館で開催されている「荒野のグラフィズム:粟津潔展」を観に行くこと、そしてその関連企画「山下洋輔、燃えるピアノに新たに挑戦[ピアノ炎上2008]」に参加することでした。

ずっと行きたいと思っていた21世紀美術館!

 

 
「ピアノ炎上」は、能登半島の増穂浦海岸で開催されました。
http://www.kanazawa21.jp/ja/03news/pdf/burningpiano.pdf  

見てください、この海岸の美しさ!
澄み渡った海と青い空、まぶしいほどの白い砂浜・・・ここへ来て良かったと、心から思った瞬間でした。
 

夕方になるにつれて、海岸には大勢の観客が集まってきました。集計では450人以上になったそうです。そして様々なメディア、報道機関の人たちも来ていました。
(上演中は基本的に撮影禁止だったので、実際にどんなだったかお見せできなくてごめんなさい。掲載しても良さそう写真があれば、あとでアップします。)


増穂浦の砂浜にはこんな風に小さな貝がたくさん。増穂浦は日本小貝三大名所の一つとして有名なのだそうです。

もちろん美味しいものも食べてきました。活きている甘エビを、贅沢にも網焼き♪


 
市内観光をする時間はほとんどなかったのですが、展示を見終わった後帰りの電車まで少し時間があったので、美術館の隣にある「兼六園」に行ってみました。
え〜と、庭園らしい写真もあとでアップしますが、まずはその超部分的世界を!(笑)


「荒野のグラフィズム:粟津潔展」は、3月20日まで開催されています。本当に素晴らしい展覧会ですので、都合つく方はぜひ行ってみてください!
★詳細HP→http://www.kanazawa21.jp/exhibit/awazu/index.html