ラトビアへ行ったら、外せない見所のひとつが「ユーゲントシュティール建築群」。バウスカからリガ市内に戻って、一息ついた頃はもう夕刻。新市街へと急ぎました。

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ユーゲントシュティール建築群がある場所は、新市街の北東側のエリア。アルベルタ通りとエリザベス通に集中しています。中央バスターミナルから旧市街を抜けてここまで歩くと、結構大変。地図で見るより実際は遠いので、最初からトラムを使う方が無難だと思います。

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リガは、ユーゲントシュティール建築の宝庫。「ユーゲントシュティール」とは、仏語の「アール・ヌーヴォー」に対応するドイツ語で、世紀末に展開された美術運動の総称です。動植物や女性のシルエットなどをモチーフとし、優美で複雑な曲線の装飾が特徴的。19世紀末から20世紀初頭、ロシア統治下に置かれたリガは、モスクワ、サンクトペテルブルクに続く大都市へと成長していました。リガ市内では建築ラッシュとなり、当時の最先端の建築スタイルとしてユーゲントシュティールの建築が数多く生み出されたのです。

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街を歩いていると、あちこちにユーゲントシュティールの装飾を見つけることができるのですが、その中でも傑出してるのがミハイル・エイゼンシュテインが手掛けた建物。ミハイル・エイゼンシュテインは、映画監督の巨匠セルゲイ・エイゼンシュタインのお父さん。周りの建物の中で、彼が手掛けたものは抜きん出た存在感を放っています。

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複雑な曲線で構成された装飾と、大胆に配置された直線とのコントラストが素晴しい。赤や青の色面も効果的に配置されていて、見る人に強い印象を与えます。この重厚な美しさに、ただただ感嘆してしまいます。。

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これはエイゼンシュタインの作品ではないのですが、外観がとてもユニーク。ラトビア人建築家が建てたもので、現在は「アール・ヌーヴォー博物館」となっています。遅い時間になってしまったので中に入れなかったのですが、この建物内の螺旋階段が非常に美しくて有名。

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柱の部分に大きく配置された顔や、女性をモチーフにした飾りがとてもユニーク。

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夢中になって写真を撮っていたら、いつの間にか周りは真っ暗。もっと早い時間に見に来れば良かったと激しく後悔・・・。でもこの素晴しい建築群を見ることができて、本当に良かった。この素晴しい建築群が戦争で破壊されずに、良い状態で今日まで残っていることは奇跡でしょう。リガに行かれた方は必ず見に行った方がいいと思います。

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そうそう、ラトビアではふたつのとても素敵な出会いがありました。
ユーゲントシュティール建築群を見た帰り、旧市街に戻る途中で「あの、もしかして日本人ですか?」と話しかけてくれた青年がいました。とても流暢な日本語でびっくりしたのですが、彼はラトビア大学に留学中のウズベキスタン人。ウズベキスタンでも日本語をずっと勉強していたそうで、トラムの中で私たちが話している日本語を聞いて、思いきって声をかけてくれたのでした。とても目のきれいな、ハンサムな青年。誠実で優しい性格がひと目で伝わってきました。

彼は日本語で会話できることをとても喜んでくれて、せっかくの機会だからと夕飯をご一緒することに。食事しながら、日本の文化を好きになったきっかけや、故国ウズベキスタンのことなどを、いろいろ聞かせていただいたり。彼のおかげでウズベキスタンという国のことが身近に感じられるようになりました。近い将来、必ずウズベキスタンへ行ってみたい。

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そしてもうひとつの出会いは、リガ在住の日本人の素敵なご夫婦。その方とは、たまたまTwitterで知り合っただけだったのですが、私がリガに到着したことをつぶやいたら、「良かったら食事ご一緒しませんか?」と声をかけてくださったのです!まったく面識がなかったにもかかわらず、そんな風にあたたかく接してくださって、いたく感動したのでした。

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そして、お二人が案内してくださったのがこの「RozenGrāls」という店。ヨーロッパ中世風料理や、ラトビアの郷土料理を楽しむことができる人気のレストラン。この建物は13世紀に建てられたものなのだそうです。お店の外観も店内も、隅々まで中世風な演出が施されています。薄暗い空間にロウソクが灯してあって、とてもロマンチックな雰囲気。

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お二人にセレクトしていただいたのが、この兎の料理。兎を食べるのははじめてでしたが、旨味がしっかりある鶏肉のような感じ。濃厚なソースとの相性抜群で、すごく美味しい♪ 雰囲気だけではなく、どの料理もレベルが高かったです。そして、ラトビアの地ビールが豊富に揃っていて素晴しかった。

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忘れられないのが、麻布に包まれて出てきた素朴な造りのパン。見た目は無骨だけど、パン生地の風味が香ばしく、味わい深いパンでした。

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ラトビアでの暮らしぶりや日本との違いのことなど、楽しい話題に盛り上がっていたら、突然、古楽器を使ったライブ演奏が始まってびっくり。古楽の美しい音色にうっとりしながら聞いていると、ますますビールの杯が進むのでした。。〈続〉

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夜のリガ旧市街の街並は、いっそうロマンティックな雰囲気に包まれます。ラトビアではそんな素敵な出会いがあったおかげで、特別に楽しいひとときを過ごすことができました。今も忘れられない思い出。いつかまた彼らと再会してみたいな。〈続〉

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