ポーランドの旅2013 -Category

2013年の6月末から7月初めに、ポーランドへ行ってきました。1年半以上過ぎてしまいましたが・・・ちょっとずつ思い出しながら、旅の出来事をつづってみます。

今回のフライトはフィンエアー。ヘルシンキ経由でワルシャワへと向かいます。朝11時に成田を発って、ワルシャワの国際空港に着いたのが夜の7時半くらい。時差が8時間くらいなので約16時間のフライト。トランジットが入るし長旅ですが、前回クロアチアに行った時の過酷なフライトに比べたら、とても短く感じました。。( →「クロアチアの旅2012」)

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着陸の直前に、飛行機の窓から見たワルシャワの街。北ヨーロッパはどこでもそうなのかもしれないけど、初夏のポーランドは日が長くて、だいたい夜の9時過ぎまで空が明るかった。夜という感覚がないので、つい夜遅くまで出歩いてしまいます。

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ワルシャワ・ショパン国際空港内はオレンジのカラーで統一されていて、スタイリッシュで機能的な造り。意外にも新しい設備の空港でびっくりしました。

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空港から市街地中心地へは、バスか地下鉄かの2つのルートがありますが、私は無難にバスを選びました。バス停は空港正面の出入口を出てすぐのところ。この日はもう時間が遅いし疲れたので、ホテルにチェックインして寝るだけ。。

私が泊まったホテルは「Premiere Classe Varsovie」。セントラル駅から西に15〜20分くらい歩く場所にありました。部屋は狭いですがきれいだし、市街地中心地の宿よりはリーズナブル。寝るだけの宿としては充分でした。

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一夜明け、ワルシャワの街を散策開始。まずはワルシャワ旧市街を目指します。あまり面白みのない幹線道路をひたすらまっすぐ歩くと、間もなくワルシャワ・セントラル駅に着きました。

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セントラル駅周辺には幹線道路に沿って地下道が伸びていて、飲食店などのショップが連なっています。この辺りには両替所も何件か固まってあります(レートは適当なところで妥協しないと後で両替所を探すのは大変...)。

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美味しそうなサンドイッチ屋さんがあったので、とりあえず腹ごしらえ。

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ワルシャワ中央駅から地上に出ると、目の前にそびえ立つこの巨大な文化科学宮殿に圧倒されました。ポーランドの社会主義時代を象徴する建造物。この途方もない大きさと冷ややかな外観が「いかにも・・・」という感じで、今では哀愁感さえ漂わせています。。。

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巨大な文化科学宮殿を迂回しつつ、市街地の中心部を目指していたつもりがなぜか工事中だらけの裏通りに来てしまって焦りましたが・・・どうにか軌道修正してメインストリートとなる「新世界通り」に辿り着きました。

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メインの通りに抜け出たのは、ちょうど「聖十字架教会」があるところ。「聖十字架教会」はショパンの心臓が保管されてることで有名。少し歩くとワルシャワ大学の立派な門が見えました。構内に入ってみたかったのですが、この日は時間がないので外から眺めるだけ。

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ワルシャワ大学の辺りを境に、そこから北側は「クラクフ郊外通り」と名称が変わります。その先をずっと歩いて行くとワルシャワ旧市街。

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この日は日曜日だったので、街の中心部を外れた場所は人気がなくて寂しい感じでしたが、さすがに街のメインストリートまで来ると大勢の観光客で賑わっています。曇りがちな天気でしたが、ときおり陽が差すと街全体がにわかに輝き始めます。

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クラクフ郊外通りに入ると、通りには様々なショップが立ち並んでいます。ふと、オープンテラスの店先にキッコーマンの醤油ボトルに出会ってびっくり。。ポーランドでも寿司が大人気のようです。よく見るとヘンテコな寿司ではありますが・・・(^^;)

そして、とても美味しそうな人気のパン屋さんを発見。

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ホテルを出てから、すでにかなりの距離を歩いていたので、この店のオープンテラスでちょっと休憩。とても人気の店のようで、店内は客で混み合っていてなかなか注文を聞いてもらえなくて大変でしたが、そこは負けずに前へ出て目当てのパンを注文。

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パン生地がかなりしっかりして(噛みごたえがあるという感じ)、麦の風味が豊か。とても美味しいパン。ポーランドのパンはどこで食べても、みんな美味しかった。

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ワルシャワの街には雀たちがたくさんいて、人のすぐ近くまでやってきます。私たちが食べてる時も、テーブルに乗っかって目の前まで近づいてきたり。もちろんお目当てはこの美味しいパンのおこぼれ。その図々しさがまた愛らしい。

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カフェテラスのすぐ向かいにあった教会に入ってみました。建物の外観はシンプルな印象でしたが、内部は荘厳な美しさ。ここは聖アンナ教会。建立は15世紀に遡り、ワルシャワでもっとも古い教会のひとつ。

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たまたま最初に入った教会でしたが、聖アンナ教会はポーランド全体でもとても重要な教会と位置付けられているそうです。パイプオルガンの造形も見事でした。

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旧市街の入口となる王宮前広場。左にそびえる像は、首都をワルシャワへと導いたジグムント3世。右の巨大な建物が旧王宮。現在は博物館になっています。

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広場は大勢の観光客、大道芸人、着ぐるみの客引き、ミュージシャン、遊覧の馬車などで賑わっていました。ついにポーランドに来たんだなぁ・・・という実感が湧き上がってきました♪

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広場の端っこには、なぜかひとりぼっちのプーさん。おつかれのご様子でした。。

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さて、ここから先がいよいよワルシャワの旧市街です。

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旧市街に入ってすぐに目に留まったのが、このいかつい顔の風船おじさん。よく見ると、どこかで見たキャラの風船もありますね(笑)。

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そして、これがワルシャワ旧市街の広場。まさに絵本のような美しさ! 思わず心が躍りました。。。煉瓦色を基調としながら、鮮やかな山吹色や青緑などの色も絶妙なトーンで壁面を彩っています。どことなく、安野光雅の「旅の絵本」を思い出させてくれますね。

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広場中央にある有名な人魚像。人魚はワルシャワ市の紋章にもなっています。「ワルシャワ」 という街の名前の由来に、人魚伝説があるのだそうです。

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歴史の深さを感じる建築群に見えますが、実はこの街全体が復元されたものです。第二次大戦でポーランドがナチスドイツの侵攻を受けると、ワルシャワの街も戦火に包まれます。繰り返される空襲にとどまらず、1944年に市民たちが「ワルシャワ蜂起」を起こすと、ナチス・ドイツはその報復として旧市街一帯を徹底的に破壊し尽くしました。約20万人もの市民が虐殺され、街は壊滅的な被害を被り、瓦礫の山と化してしまいました...。しかし、戦後にポーランド人自身によって街を復元する事業が始まります。歴史的絵画やスケッチなどを手掛かりに、また住民たちの証言を拾い上げながら、何年もの時間をかけて丹念な再建作業が進められました。そして建物一つ一つ、それぞれの装飾の細部、レンガの割れ目に至るまで忠実に再建されたそうです。その市民たちの熱意と努力が讃えられ、この街は1980年に世界遺産へ登録されています。

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この美しい街並みが瓦礫の山から復元されたものだと思い起こしながら街を歩くと、特別な感慨がこみ上げてきます。街の復元には、戦時中に建築科の学生たちが危険を顧みずに、街中の至る所をスケッチして残したことが役立ったのだそうです。

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広場にあった花屋さん。ワルシャワは街角の至るところ、花で飾られているのが印象的でした。

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旧市街の北端にある、バロック様式の砦「バルバカン」。旧市街はかつて城壁で囲まれていて、そのゲートを守る砦として機能していたのでしょう。

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バルバカンを抜けて更に北へと歩いて行くと、その先は新市街地。新市街といっても、こちら側も16世紀から続く歴史ある街並み。メインの通りにはたくさんのカフェやレストラン、土産屋などのショップが建ち並びます。

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ふと窓から素敵な陶器が見えたので、一軒の陶器屋さんに入ってみました。

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狙ったわけではなかったのですが、そこはポーランド陶器の専門店でした。ハンドメイドの愛らしいデザインの陶器がいっぱい。ポーランドの陶器は「ボレスワヴィエツ陶器」とか「ポーリッシュ・ポタリー」などの名称で有名。世界中で愛されていて、偽物も多く出回るほど人気があります。本物を手に取るとやはり魅力にあふれていますね。細やかで個性的な模様がとても素敵。

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ちょうどお昼時になったので、適当に選んだ店に入ってみることに。「Pod Samsonem」というレストラン。こじんまりした店舗でしたが、店内は古き良き時代の生活スタイルを感じさせる内装で、アンティークの小物などのセンスも良くとても素敵な雰囲気。

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ポーランドに着いてから、これがはじめてのポーランド料理。ポーランドの郷土料理と言えば、やはりビーツのスープ、そしてピエロギ。サーモンのサラダ、ビールをつけて軽めのランチ。熱々のピエロギがとても美味しくてびっくり。そしてサラダの野菜がとてもみずみずしくて味が濃い。思い出してみると、今回のポーランド旅行で食べたピエロギの中で、ここのが一番美味しかったかも。

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私たちがお店に入った時点では心配になる程ガラガラだったのに、気が付いたら店内は満席に。。街の中心部にあるロケーションの割には値段もそれほど高くなかったし、とても良い店でした。あとで知ったのですが、この店はユダヤ料理店として有名なお店でした。もっといろいろ食べておけばよかった。。

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メインストリートを更に北へと歩いて行くと、工事中の建物が多くなり、通りを歩く人も少なくなってきました。街全体のトーンもちょっと寂しい感じになってきます。

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観光客向けのエリアではないのですが、裏路地好きな人はこの辺りのしっとりした生活感ある町並みを歩いてみるのも楽しいかも。煉瓦造りの重厚な造りのファザードが印象的な、美しい教会もありました。ワルシャワで一番古いとされる「聖ヤン教会」と外観の造りに似ている部分があるので、おそらくここも歴史の深い教会なのでしょう。

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ワルシャワ歴史地区・新市街の外れまで来たところで折り返し、もと来た道を戻って再びクラクフ郊外通り〜新世界通りを歩きました。

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ライオン像の向こうに見えるのが大統領官邸。かつては貴族ラジヴィウ家の館だったそうです。

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通りがかりで入ってみた教会。あとで調べてみたら、ここは神学校の教会でした。建物自体は再建されたものだと思いますが、学校の歴史は16世紀にさかのぼるようです。

Wyższe Metropolitalne Seminarium Duchowne św. Jana Chrzciciela

やはりワルシャワへ来たら外すことのできないのが「ショパン博物館」。メインストリートから路地を曲がるポイントに失敗して、迷いまくった末にようやくたどり着きました。街の中心部からちょっと外れた静かな場所。ガイドブックには「入場には事前の時間指定が必要」と書いてありましたが(あとで知った)、私が行ったときは予約なしで普通に入場できました。

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展示内容は、ショパンに思い入れが深い人にとっては素晴らしく充実した内容だったと思います。何かに取り憑かれたかのように、凄まじいエネルギーと集中力で書かれたショパンの楽譜に圧倒されました。ただ・・・展示の仕方が凝り過ぎてるというか、余計な仕掛けが多すぎて、かえって展示を楽しめなかったようにも感じたり...。

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そしてもうひとつ、必ず行こうと思っていた場所がありました。それは、この記事→《「ワルシャワで、「家みたいな書店」と出会う》を読んで知った「Tarabuk」という本屋さん。

場所は、ワルシャワ大学の近く。といっても、ワルシャワ大学キャンパスは広大な敷地で、新世界通りからそのお店があるキャンパスの反対側まで回ると結構な距離。でもここに行くのはずっと楽しみにしていたので、歩きながら期待に胸が高まりました。

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ようやく見つけた「Tarabuk」。閑静な住宅地の思われる街並みに、ひっそりと佇んでいました。

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書棚には文芸書から実用書、思想書、写真集までいろいろ。単純にジャンルによる分け方ではなく、何かしらのテーマで並べられているようでした。京都の恵文社とイメージが近い感じでしょうか。本を開いても私には中身を理解できないので、想像するしかないのですが。

私が楽しめたのは子供用の絵本がある部屋と、ビジュアルな本が並ぶ書棚。

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子供用の本は独立した部屋になっています。子供用の低い椅子とテーブル、クッションが積んであるソファもあって、とてもくつろげるスペースになっていました。

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小さなフロアですし、大型書店の品揃えとは比較にならないのだろうけど、ここに置かれた本はこの店の店主とスタッフが自信を持ってセレクションしたものなのでしょう。そしてそれらの本を介して、ここに集う人達とお店のスタッフとが、ゆるやかな信頼関係が結ばれているように感じました。

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そんな空気感が心地よくて、私もその中から絵本を数冊選んで、自分へのお土産に。店主さんは物静かな方でしたが、日本から来たと話したらとても喜んでくれて紅茶をご馳走していただきました。後日、とてもうれしいメッセージを送っていただいたりも。

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本当に、家みたいな書店だった「Tarabuk」。素晴らしい本屋さん。ずっとそこにいたくなる空間でした。

あちこち歩いてるうちに、いつの間にか夜の8時半を回っていました。すでにかなりの距離を歩いていたので、もうこの頃はクタクタ...。お店を選んでる余力も無かったので、新世界通り沿いにあった小さなレストランに入ってみることに。「Specjały Regionalne」というポーランド料理のレストラン。

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ちいさな店舗でしたが、とても可愛らしい素敵なお店。オープンキッチンになっていて、私たちのテーブルからすぐ近い場所で、陽気そうなシェフたちが腕をふるっていました。そして出てきた料理がどれも素晴らしく美味しくてびっくり!

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適当に入ったお店でしたが、さっきお店の情報調べたら「トリップアドバイザー」で高評価のお店でした。「ワルシャワのレストラン 1,220件中10位」。なっとくの評価。

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途中、両替所を探して街中を彷徨ったり・・・大変な一幕もありましたが、目指していた場所をある程度回れたからよかった。ワルシャワを楽しむには、一日じゃまったく足りなかったことが心残りだけれど。

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